電子マネー戦争に新展開 ナナコ商店街進出のワケ

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手数料は地元に還元 端末費用の負担も軽く

東京都信用金庫協会とセブン&アイグループの間で話し合いが始まったのが昨年夏前。その際、視点の一つとなったのが、商店街活性化の一助とするというもの。そこから独特のスキームが構築された(下図)。

ナナコを発行しているのはセブン&アイグループのアイワイ・カード・サービスで、加盟店開発・支援などはJCBに委託している。今回はさらに、JCBが同業務を信金業界のクレジットカード会社であるしんきんカードに再委託。来店客がナナコを使って買い物をすると、商店街の各商店(加盟店)からは一定率の加盟店手数料がJCBに支払われる。JCBは手数料金額の一定割合をアイワイ・カードとしんきんカードに支払う。

このスキームの“サビ”ともいえる部分はここからだ。

しんきんカードはしんきん協議会連合会を通じて、東京都内の各行政区・市ごとに設立しているしんきん協議会に手数料の一部を支払う。各地のしんきん協議会は受け取った手数料金額を利用件数に応じて地元の商店街に寄付し、寄付は商店街の祭事などに活用される。つまり、アイワイ・カードなどナナコの業務にかかわる関係者が自ら収入を制限することにより、商店がナナコ利用の際に支払うコストの一部が、商店街活性化の原資として還元されるわけだ。


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