喝!ワーママは「特権階級」ではありません 28歳・昼まで勤務の公務員女性に激辛回答

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結論から言うと、「やはり個別に判断すべき」ということになってしまう。時短で働く人が時間当たり生産性を1.5倍に高めることは、理論上は可能でしょう。でもそれを可能だと証明するには、生産性を測る尺度や基準が必要です。「だらだらと長く働くより、テキパキと短く仕事をして同じ成果ならば、それはすばらしい」と言葉にするのは簡単ですが、何が「だらだら」で何が「テキパキ」かを明確にするのは本当に難しいのです。

議論しているうちに段々と、「たとえば、○○さんと△△さんで見てみると……」などと個別の話になってしまい、「それにはこういう事情がある」「仕事の特性がこう違う」などとさらに突っ込んだ個別の話になっていって、「まぁ人によるね」で終わってしまうことがしばしばです。

あるときに、ため息まじりに、「どう考えるとすっきりするんでしょうね」と人事の役員に問いかけてみたことがありました。彼は私に、「量と質はある程度リンクすると考えるしかないんだろうね」と言いました。そして、「面積で考えてみるといいよ。量×質が面積だとする。どれだけ質を高めていっても、一定以上の量をやらなければ面積は大きくならない。質の軸はとても大事で、質が低いからといって量だけで勝負するのは時代のルールと違っているが、それでもある程度の量を前提にした質の会話をしなければ評価のしようがない」と続けました。

私は自分の組織の時短社員メンバーたちの頑張りを正しく評価してもらいたいと思って「質」のことばかり会話してきたのですが、この「量」の話は腹にすとんと落ちたのをよく覚えています。

「質と量との関係」はとても重要な要素

もちろんこれはひとつの考え方に過ぎません。会社によって評価の制度や仕組み、組織文化も異なるし、業種・職種や働く地域などのさまざまな要因も影響するでしょうから、組織によって考え方はどうしてもばらつきがあるでしょう。でも、まだまだ時短勤務社員の「成果」のサンプルが少ない中で、制約なく日々働く社員と比較する基準を考えるとき、「質と量との関係」はとても重要な要素ではないかと思うのです。

たとえば、あなたの場合、お昼までの勤務ということですから、4時間勤務だとして、周囲の社員は8時間勤務だとすれば、「みんなと同じに評価してください」というには、ほかの人の2倍の生産性で成果をあげる必要があります。人の半分の時間ですべての業務をこなさなければ同じ量はこなせないということです。

フルコミッションの仕事などはまた別でしょうけれど、一定は存在するオペレーティブな業務、周囲と時間を共にする会議や、はたまた戦略の理解、勉強などといったことを「私は半分の時間でできる!」と言える人はさすがに少数派ではないでしょうか。

次ページ「今はまだ無理だろう」というのが周囲の評価
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