ワーキングプアを自治体が作っている 『非正規公務員』の著者に聞く

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──非正規という表現は法律にはありません。

臨時職員、非常勤職員という表現は出てくるが、地方公務員法や地方自治法上にきちんとした定めはない。だから、非正規全体がどういう法制度下にあるのか、ほとんどわからない。

──無法地帯?

彼女たちは自分たちのことを「法の谷間の存在」と言うが、むしろそれ以前の段階だ。公務員だから、民間の労働者とは違った枠組みの中にいて法適用も違うのだが、肝心の公務員法は守ってくれない。一方で労働契約法も非正規公務員には適用されない。去年、ようやく育児休業ができるようになったなどボツボツ変わりつつあるが。

──この本に、四つの偽装が問題とあります。

公務員法上に定めがないので、いわば言葉尻をとらえて、ある図書館では1日3分常勤より時間が短ければ非常勤とする例さえある。これはもう偽装といえる。第2の偽装は、仕事内容だ。公務員法では非常勤や臨時は、補助的ないしは一時的な仕事をする。つまり正規の仕事ではないから非正規に任せると。ところが、実際には仕事内容は同じなのだ。第3は、有期の任期をつけることで、正規と違うとする。期間をつけて採用することは正規公務員にはない。だから、任期をつけて非正規と位置づける。これを偽装有期と見なせば、第4の偽装に結び付く。公務員として任期1年や6カ月にして、その任期切れの形で雇い止めができる。

 

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