駅弁がコンビニ弁当より高いこれだけの理由 1日20個限定の希少弁当、予約で熱々を提供も

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ちなみに京王百貨店や阪神百貨店の駅弁大会の成功を見て、後追いする駅弁大会もありますが、こういうところでは駅弁風に偽装した弁当が売られていることがあります。パッケージ、ネーミング、中味などすべてを駅弁風に仕立てた弁当です。

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――堀内さんは列車に乗るときは駅弁を買うのですか?

もちろんです。私はコンビニ弁当は買いません。どこにでもあるような弁当じゃ面白くない。地元の名産品を買いたい、食べたいというのが率直な気持ちです。

――ユニークな試みで成功している駅弁はありますか。

たとえばいすみ鉄道。廃棄したら損するからといって、予約制にして売れる分しか作らない。駅弁で儲けようとせず、駅弁があることで自社の魅力を高めようという戦略です。逆に大井川鉄道は、従来は予約制にしていましたが、新しい社長が就任してからは、当日でも買えるようになりました。

幕の内弁当も面白い

容器にも工夫をこらした「ひっぱりだこ飯」

普通の駅弁でも工夫しているところはありますよ。たとえば小淵沢駅の丸政がやっている「かつサンド」。出来立ての熱々のサンドイッチを食べてもらいたいということで、予約制にしている。出来立てなら豚肉が固くならないからということで。コンビニでそれをしようと思ったら、カウンターにフライヤーを置いて、調理員を雇って、揚がったとんかつを切って売らなきゃいけない。

神戸・淡路屋の「ひっぱりだこ飯」は蛸壺のような容器が人気で、台湾人の間で大人気だそうです。

「ますのすし」で有名な富山の源は、最近「富山味づくし」というお弁当を出しました。幕の内弁当のようなもので、ますのすしも少しだけ入っている。こういう売り方もあるんだと思いました。その意味では幕の内弁当にも地域ごとの特性が出ています。幕の内弁当の食べ比べも面白いかもしれません。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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