精神障害者を「地域」で支える壮絶現場の本音 潜在需要の多さに支援が追いつかない

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訪問は原則月2回だが、突然のトラブルがあれば休日、夜間を問わず駆け付ける。スタッフの中には精神疾患の経験を持つ「ピアスタッフ」もおり、支援に関わっているのが特徴だ。

患者は現在、佐賀市や神埼市をはじめ、福岡県大川市や柳川市など県外も含め約70人。「買い物に同行してほしい」「料理をしたいので手伝って」――活動を通じ、谷口さんは生活支援のニーズの多様さを感じている。

潜在需要の多さに追いついていない

ある統合失調症の患者は、症状が落ち着いてくると「おいしい刺し身が食べたい」と望み、一緒に外食をした。「ゆっくりながら、人生の喜びや生きがいを見つけ出しつつある人もいる。地域で人間関係を築くきっかけになれば」と話す。

国は精神保健医療のあり方について、「入院医療から地域生活中心へ」との方針を掲げているがその受け皿となる社会資源はまだ乏しいのが実情。佐賀アクトも一日で十数人の患者を訪問するなど、潜在需要の多さに追いついていないという。

谷口さんは「地域生活の中で患者と向き合いたい医師をどれだけ確保できるかが課題。主体性を持って生きることが自立への一歩であり、望む医療や生活支援など、意思決定の部分で患者が医療に参加できる仕組みづくりが必要」と話す。佐賀アクトは電話0952(20)1286へ。

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