有利子負債13兆円! 都市再生機構(UR)は再生できるか

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ニュータウン開発は撤退へ

日本住宅公団や宅地開発公団は、もともと高度成長期に大都市圏への急速な人口流入に対応するための住宅供給などを行う特殊法人だった。政府は財政投融資をつぎ込み事業を拡大していった。その後、住宅不足が解消するにつれ、存在意義は失われた。にもかかわらず、さまざまな事業が追加されて組織が肥大化し、非効率な業務運営が行われてきた結果、巨額の負債が残った。民業補完という本来の役割から外れ、都心部の高額家賃住宅など民間企業と競合している物件もある。

もっとも、国も現在に至るまで放置してきたわけではない。1990年代後半には公的機関による住宅供給を見直すべきだという機運が高まり、マンション分譲事業から撤退した。さらに、日本住宅公団と宅地開発公団が合併して生まれた都市基盤整備公団と地域振興整備公団が04年に統合して、現在のURが発足したのと前後して、業績の足を引っ張っていたニュータウン用地の売却促進や人員削減など財務体質の改善を進めていった。ニュータウン事業については18年度までに宅地の供給と処分を完了することになっている。

そうした取り組みが実を結び、URの損益は発足以来、常に数百億円規模の黒字を確保。11年度は447億円の当期純利益を計上した。発足時に約7200億円あった繰越欠損金は約2600億円まで圧縮し、負債もピーク時の16兆円から3兆円強削減した。

だが、いくら圧縮が進んだといっても、13兆円という巨額の負債を抱えている事実に変わりはない。支払利息は総収入の約4分の1に当たる2154億円と重くのしかかっている(表)。今後、金利の上昇や不動産相場の下落が起こった場合、財務が悪化するおそれがある。改革は待ったなしの状況だ。



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