中国デモで平和堂などに壊滅的被害、主な日系スーパー、コンビニの被害状況と今後

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中国デモによる被害は、日系企業の象徴的な意味合いを持つ百貨店やスーパーが特に狙われた。若者を中心とした破壊活動、略奪行為は、貧富の差に苦しむ中国社会の暗部を照らし出した。

主な日系流通企業の被害を見ると、テレビ報道等でも紹介されたのが滋賀地盤のスーパー、平和堂。日本国内では総合スーパー(GMS)中堅だが、中国では湖南省に百貨店3店を持つ百貨店“メジャー”の一角。街でもシンボル的な存在となっており、暴動の矛先を向けられてしまった。

 9月15日に壊滅的被害を受けた1号店は、店舗フロアのある1階から5階まで、店の中すべてが大きく破壊され、略奪と破壊行為は2号店と3号店の一部にも及んだ。もともとデモ活動に備えて9月15~18日は臨時休業をとっていたが、今後の再開には月単位の修繕作業が必要という。被害総額は精査中だが、10億円単位になるとの見方もある。

同じ関西地盤のイズミヤも、11年9月に蘇州にオープンしたばかりの百貨店1号店が狙われた。地下1階から地上4階まで5フロア営業しているが、9月15日にデモ開始の情報を聞きつけ午後1時で閉店。その後にガラスを割られ、1階部分のテナント店舗が破壊・略奪された。地下1階と2階以上は防火扉があるため被害はなかった。18日までは休業しており、明日以降は1階以外のフロアは再開可能だが、デモの動向を注視している状況。

イオンは青島のジャスコ黄島店が15日に壊滅的な破壊被害を受けた。被害額は数十億円との報道もあるが「具体的な被害額の精査はこれから」(イオン)としている。9月17日は5店が休業、18日も全35店のうち北京1、天津2、深圳2店が行政当局の指導を受け休業中だ。休業店舗の従業員は自宅待機している。

コンビニの被害は軽微

スーパーに比べれば、コンビニへの被害は軽微。ファミリーマートは中国全976店(8月末現在)のうち成都で7店を営業しているが、うち4店が9月14日夜に投石によるガラス破損、一部が暴徒の侵入を受けた。物品・金品の略奪等は認められていない。16日午後には4店も営業再開し、その後現在まで全店が営業中だ。

 

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