フジの手本は日経? メディア複合体への道

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フジの系列局は従順

フジテレビが他の放送局に比べて、メディア・コングロマリットを目指しやすいのは確かだ。 
 日本テレビ放送網やテレビ朝日、テレビ東京では筆頭株主の新聞社の影響力が強いのに対して、フジテレビは「初めに新聞ありきではなかった」(境氏)。フジサンケイグループではむしろ、稼ぎ頭はフジテレビで、産経新聞はフジテレビの持ち分法適用子会社という位置づけ。新聞社出身者が経営トップに就く日本テレビなどと違い、フジテレビでは生え抜き社員が着任する。新聞社の“ご機嫌伺い”をする必要もなく、テレビを中心としたメディアグループを組成しやすい環境だ。

系列地方局のグループ化でも、フジテレビは比較的動きやすい立場にある。地方局でも先発局は地元新聞社や地場有力企業が出資している例が多く、グループ化するにはこうした新聞社を説得して株式を取得しなければならない。一方で、後発局だったフジテレビが提携したのは当時設立したばかりのような2、3番手局。「まるで乳飲み子を育てるように地方局を育ててきた」(境氏)こともあって、系列局からの信頼も厚い。

唯一の悩みの種だったニッポン放送とのねじれ関係は、ライブドアによる買収騒ぎにまで発展したが、同社に440億円の“手切れ金”を払うことで何とか収束。無事子会社化にもこぎ着けた。

新聞社を大株主に持たないのはTBSも同様だが、系列局に独立心の強い地元有力局が多く、一つの傘の下に収めるのは難しいとみられ、コングロマリット化のしやすさではフジが頭一つ抜きんでている状態だ。


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