危険をはらむ健康食品、被害が出ても販売は続く 低血糖や肝機能障害も

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 「多量に摂取した際の安全性が確認されていないクマリンのような成分が含まれている植物成分抽出濃縮物については、安全性の評価を行うとともに食品衛生法の適切な運用に配慮してほしい」

国民生活センターは調査結果の中で「行政への要望」としてこう述べていたが、食品安全委員会による安全性評価は未着手。厚労省は05年に健康食品に含まれる含有量が医薬品の経口上限摂取量を超えないよう求める通知を出すにとどめている。

そうした経緯から、メリロートは現在も主にダイエットに関心を持つ女性向けに売られ続けている。しかし、厚労省が求める成分量が守られているかは定かでなく、低血糖状態に陥る危険性について明記せずに売られているケースも見られる。

医薬品成分を含む危険な健康食品も流通

相次ぐ健康被害(表)からわかるように、健康食品の摂取が生命の危険と背中合わせになることも少なくない。そしてわが国では医薬品と異なり、健康商品を販売する業者には有害事象の報告義務も課されていないうえ、健康被害救済制度もない。

健康食品問題に詳しい高橋久仁子・群馬大学教授は、「『医薬品ではなく、食品だから安全です』という文句にはまったく根拠がない」と警鐘を鳴らす。「食品成分といえども、危害要因になりうる。たとえば、健康食品を食べて血糖値が下がったとしても、効いたと思って安心していいわけではない。α−リポ酸がそのいい例だ」と高橋教授は続ける。

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