「バスタ新宿」で新宿南口は何が変わったのか 39都府県を結ぶ「バスの玄関」の裏側

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4階にある券売機と発着案内表示板
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3階にある東京観光情報センター

バスタ新宿は2階がJRの改札口と直結した歩行者空間、3階がタクシー乗り場と一部の高速バス降車場、4階が待合施設やチケット売り場などを備えた高速バスターミナルで、バスの発着場所は3・4階合わせて15カ所ある。

このほか、3階には新宿駅周辺を循環する「新宿WEバス」の乗り場と、都内や全国の観光情報を日・英・中・韓の4言語で提供する東京観光情報センターも設けられている。

1990年代半ば以降、タカシマヤタイムズスクエアや新宿サザンテラスのオープンなどが続き、新宿の新たな顔となった南口。だが、利用者が急増する一方で駅前は狭く、南口駅舎の前を通る甲州街道(国道20号)の跨線橋は、古い部分では1925(大正14)年に建設されて以降80年が経過し老朽化するなど、さまざまな課題を抱えていた。

これらの課題を解消するために国交省東京国道事務所が進めてきたのが「新宿駅南口地区基盤整備事業」だ。バスタ新宿はその一環である「新宿南口交通ターミナル」として、跨線橋掛け替え工事の際の資材置き場だったスペースに建設された。

19カ所を1カ所に集約

新宿駅周辺は都内でも有数の高速バス発着場所であるにもかかわらず、乗り場はバス会社のグループなどによって19カ所に分散し、利用者にとってはわかりにくかった。分散していたバスターミナルを1カ所に集約するとともに、これまで南口駅前の甲州街道沿いにあったタクシー乗降場が客待ちの車列で渋滞の原因となっていたことから、タクシー乗り場もターミナル内に併設。鉄道・バス・タクシーが1カ所に集まる交通拠点として、バスタ新宿は誕生した。

バスタ新宿の開業により、JR各線と高速バスの乗り継ぎは格段に便利になった。一方で、山梨県や長野県の中南信を結ぶ中央高速バスとJR中央線の特急「あずさ」「かいじ」、成田空港アクセスのリムジンバスとJR「成田エクスプレス」など、鉄道と高速バスには競合する区間も多い。また、高速バス同士であっても、これまでは別の乗り場に発着していた、同じ目的地へ向かう他社の路線が同一のターミナルに乗り入れることになる。

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