課長から上の出世は「評価より評判」だった! ヒラ社員とは違う「出世基準」

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これまでは、出世は年功序列の風潮もあったかもしれませんが、企業を取り巻くビジネスの環境が変化する中で、人事の仕組みも、それぞれのポストの職務をはっきりと定め、その職能を持った人材を活用する方向へ変化しています。人事制度でいうところの「職務(役割)等級制度」という考え方です。

わかりやすい例として、とある企業の課長昇進の面接の際に使われている行動評価の指標を紹介しましょう。

①リーダーシップ:率先して組織を率いることができているか
②顧客満足:顧客満足度を高めるための行動ができているか
③組織専門力向上:結果の成否を問わず、組織の業績を自己の問題としているか
④事務管理:部下に適切な指示を出し、業務を遂行できているか
⑤人材育成:部下の行動特性に合わせた指導を行えているか

 

これらの行動評価は係長の段階から課長にふさわしい行動を取っている人を選抜するために設けられたものです。課長未満の「卒業基準」とはまったく違います。

管理職の一員である課長になると、2つの権限が正式に与えられます。それは「予算の管理」と「人事査定」。上が評価する課長とは「人を動かすのがうまい」「組織として結果を出している」人です。いくら仕事ができても、実務に追われて予算の管理や人事査定がおざなりになってしまっては、上司からの評価は下がってしまいます。

課長1年目の時点で「自分は現場の実務の第一線から離れた、まったく新しい仕事に就いた」と気持ちを切り替えるべきなのです。

もし、あなたの会社の昇進面接基準を知りたければ、上司本人の人事評価シートを(未記入のものでいい)見せてもらうことをお勧めします。そこにはまさに、あなたが目指すべき次の役職で求められていることが書かれているからです。

課長からの出世に必要な「評判」とは

課長より上のポストを狙うためには、実力や人事評価以外の、これまでと違う視点を持たなければなりません。それは「評判」です。課長以上の昇進候補を選ぶ基準は人事評価の高い順、などではありません。なぜならすべての人事評価は“過去を評価するもの”だから。経営陣が欲しいのは、“会社の未来を託すことのできる人”です。

この昇進候補が選ばれる際には、たとえば「アイツとアイツ、どっちがいいかな」といった競争になってきますが、このときの判断指標は、評価というよりもむしろ“評判”に近いものになります。

心してほしいのは、課長の評判とはすなわち“課の評判”であるということ。この課の評判を得るため必要なのが“組織力”です。この組織力を高めるための基本的なポイントは大きく以下の3つになります。

① 複数の人間で仕事をする/させる

部下たちが優秀だとしても、個人プレーはさせず、チームプレーを意識しましょう。そのためには、社員たちにバラバラに行動させず、あらゆる仕事に必ず複数の人間を関与させるようにします。また、「課長自身がなにをしているか」が自然に伝わるようにして課の雰囲気をよくし、周囲の評判を高めることも大切です。

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