馳・文科大臣が「今どきの就活」にズバリ注文 「学業の成果で採用の合否を判断するべきだ」

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――2011年からキャリア教育が必修となり、卒業のための単位に認定されるようになりました。講義時間内に行われるキャリア教育は学生に役立っていると思われますか。

キャリア教育は始まったばかりなので、不十分なことが多くて当たり前だと思う。キャリア教育のための人材が十分ではないし、経済界との連携もこれからといった段階だ。小さく産んで、大きく育てるという精神でキャリア教育を充実させていきたい。

――キャリア教育の関連でインターンシップについてお伺いします。最近、多くの企業がインターンシップを行っていますが、期間が1日のものも多く、本当のインターンシップとは言えません。文科省が企業に対して、インターンシップの日数や受け入れ人数の増加を働き掛けるつもりはありませんか。

インターンシップの実施は大学の自由意志で行うものであって文科省が口出しするものではない。文科省が企業に対してインターンの受け入れを要請するということはしない。

国内では無償のインターンシップがほとんどだが、海外は報酬をもらえるインターンシップもある。国内においても有償、長期などいろいろな形式のインターンシップがあっていいと思う。

また、インターンシップに参加することは有意義だが、学生がエネルギーのすべてをインターンシップに費やしてしまっては意味がない。学生の本分は学業であることを忘れてはならない。

2017年度から新しい奨学金制度がスタート

――最近、奨学金制度についての批判が増えています。学生が安心して勉強し、就活に取り組むには生活の安定が欠かせません。今後、奨学金制度をどのようにしていくのでしょうか。

馳 浩(はせ ひろし)/文部科学大臣。専修大学文学部卒業後、星陵高校の国語科教員。1984年アマレスでロス五輪出場。新日本プロレス、全日本プロレスを経て95年参議院議員に当選。2000年から衆議院議員。日本文学風土学会会員(撮影:梅谷秀司)

奨学生の人数を増やすこと、無利子の奨学金を増やすこと、授業料の減免制度を充実させることが必要だ。ただ、返済の必要のない給付型奨学金制度については、公的資金の使い方の公平性という観点で検討する必要がある。

大学生の親は特定扶養控除を受けている。すでに親に対しては一定の負担軽減制度が適用されているわけだ。ここでさらに給付型奨学金制度を導入するとなれば議論が必要だ。

現行の奨学金制度でも所得に応じて、返還猶予、無利子、免除といった制度は用意されている。こうした奨学金は給付型奨学金の一類型だ。そして、2017年からは給付型奨学金の理念から生まれた「所得連動返還型奨学金制度」がスタートする。奨学金の返還月額が卒業後の所得に連動するので、利用者の負担が軽くなるはずだ。

今後さらに奨学金制度を拡充させるには次の3点を明確にして、国民の理解を得る必要がある。1つ目が財源。恒久政策には恒久財源が必要だ。2つ目は対象者をどのように絞り込むのかということ。3つめは給付の仕方だ。1年生に対して一度に4年分の奨学金を支払ったのにすぐに中退してしまったというのでは困る。

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