東芝はテレビの赤字など響き増益幅縮小 インフラ部門の強化に舵切る

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目下、スマホ需要で絶好調と見られていた半導体のNAND型フラッシュメモリも出足でつまづいた。NANDは韓国サムスン電子と東芝が大半のシェアを握る寡占市場だが、第1四半期(4~6月)に値崩れしたことが響いて赤字転落。第2四半期(7~9月)に30%の減産を実施することで需給調整を実施した。今期の販売数量も「スマホを軸に前期比5~6割増の伸びを目指していたが、今は4~5割増で見ている」(久保専務)と控えめだ。足元では減産幅を減らしており、需給を見極めながら柔軟に対応するという。

民生の不調をインフラで補う

一方、大荒れの民生分野と違い、社会インフラは安定感抜群だ。国内の火力発電などが好調で、期初計画を上方修正している。子会社の米ウエスチングハウスは中国で4基、米国で4基の原発プラントの建設を進めており、今上期の利益は最高水準(06年の買収以来)となっている。医療機器やエレベーターといった分野も海外で伸びており、民生分野の不調を補っている状態にある。

このため、東芝を取り巻く環境は決して厳しいわけではない。今13年3月期は下方修正したものの増益計画に変わりはなく、着実に利益を積み上げている。安定的に稼げるインフラ部門の強化に舵を切り、NANDへの設備投資を続けるなど、攻めの姿勢はそのままだ。今期の業績については、会社修正計画程度の増益は見込めるものと、東洋経済では見ている。
 

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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