「カシオペア」は親子旅向け利用で再出発を! 北海道新幹線の開業で運行終了したが…

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狭い廊下から階段を降りて、7号車12番の個室に入る。その第一印象は、「思ったよりも狭い」。

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個室の奥はレールと垂直方向にベッドが配置されている。上着をきれいに掛けられるよう、荷物棚には切り欠きがある(撮影:村上悠太)

カシオペアツイン1階室は、幅約2メートル、奥行き約2.7mで、広さは約4.4平方メートル。ここに二つのベッドとトイレ兼洗面室、テレビモニターなどが配置されている。天井までの高さは182センチ。2階建て構造でありながら、平均的な身長の成人男性でもかがむことなく利用できるというのが、デビュー当時のJRのうたい文句だった。

確かに、その巧みな間取りには感心する。窮屈な二段ベッドを避けるために、ベッドはL字に配置。洗面室にフルサイズの洋式トイレを装備する一方、洗面台は折りたたみ式で、トイレの上方に格納されている。窓側のベッドは、日中は向かい合わせのソファとして機能し、座り心地もなかなかだ。頭がつかえたり足もとが窮屈だったりということもなく、北海道への旅路をたっぷり楽しめるだろう。

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筆者の身長は170センチ。かがむことなく動けるが、立ち上がると若干窮屈。2階室は窓がカーブしているため、ソファから立ち上がると頭をぶつけそうになることも(撮影:村上悠太)

1階室ということで車窓風景が見えるか心配したが、曲面ガラスを使った大型の窓からは前後の景色もよく見渡せ、十分な眺望を楽しめた。

乗り心地も、従来のブルートレインとは隔世の感がある。車輪を搭載した台車には、主に縦揺れを防ぐ軸ダンパと横揺れを抑えるヨーダンパを搭載し、連結器には密着性が高くショックが少ない密着式連結器を採用。ブレーキも、タイムラグが少なくスムーズな制動が可能な電気指令式ブレーキを装備している。レールの揺れ、機関車から伝わる加減速時の揺れをそれぞれ効果的に吸収し、快適な乗り心地だ。

特に1階室は、揺れの主な発生源であるレールに近いため元から振動が少なく、従来の客車列車特有のガタンゴトンという揺れを感じることはほとんどない。開発から20年近くが経過したとは言え、寝台車としては今もトップクラスの性能を備えている。

どっち向きに寝ればいい?

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寝台をセットし、カメラマンと足をつき合わせて寝てみる。必要十分な広さだが、どうも雑魚寝しているような気分になる(撮影:村上悠太)

その一方で、個室の設備は「豪華な個室寝台」という視点から見るとやや中途半端な印象が否めない。かがまなくてもよいとは言え、立ち上がれば若干の圧迫感があるし、L字型に配置されたベッド配置も落ち着かない。

これは、どちら向きに寝れば良いのだろう。頭をつき合わせると顔が近すぎて気まずいし、お互い足を向けて寝ると、今度は雑魚寝しているような気分になる。車掌に尋ねると、「お好みですが、基本は足を向けてお休みいただく方が多いようです」とのことだ。

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