「紫外線対策」をどこまでするかは自分次第 優先したいのは今のおしゃれかシミ対策か

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ボディの日焼け対策も、全身に何度も日焼け止めを塗り重ねるよりも衣類でガードするほうがよいでしょう。ジャケット、ストール、UV手袋などを利用すれば、肌に負担をかけずに紫外線をしっかりカットします。日焼け止めを塗りすぎると肌に負担になることもあるので、ほどほどにして、日焼け止め以外の紫外線対策グッズを賢く利用したほうがよいのです。

もちろん、パウダーファンデーションを厚く塗り、全身を衣類で覆ってしまうと、夏のおしゃれとは程遠くなってしまうかもしれません。そこは価値観の問題で、将来ある程度シミができてもよいと考えている人は、必ずしも万全を期す必要はないのです。今のおしゃれを楽しみたいか、将来のシミを防ぎたいか、どこまでするかは自分で決めればよいのです。

ただひとつ申し上げたいのですが、最近のライトメイクが流行してから、シミ年齢が低下している印象があります。リキッドかクリームタイプの軽めのファンデーションもしくはBBクリームを塗り、ルースパウダーをはたくというだけのメイクがはやっています。誰でも簡単に仕上がり、素肌感があるので年齢を問わず女性に人気ですが、塗り方があまり薄いと日焼け対策として不十分です。それよりも固形のパウダーファンデーションのほうが、粉体そのものが紫外線をはじくので、日焼け防止効果は高いのです。

塗るなら荒れない程度にとどめましょう

怖いのは、「つもり紫外線対策」です。自分できちんとしたつもりでそれが不十分であり、思わぬシミが発生して動揺するというようなことだけは、避けたいものです。

またもうひとつ知っておきたいのは、日焼け止めの塗りすぎによる弊害です。日焼け止めを塗りすぎて肌が乾燥したり荒れたりすると、余計に紫外線を吸収しやすくなってしまいます。肌が健康であるほうが紫外線に対して抵抗力があり、乾燥したり荒れたりすると紫外線を通しやすくなるのです。夏場は日焼け止めを塗らないといけないという義務感のようなものをもって、肌が荒れてもかまわず塗り続けている人がいますが、それでは逆効果になることがあります。日焼け止めを塗るといっても、肌が荒れない程度にとどめるべきで、やりすぎは禁物です。

日焼け止めだけに頼らず、賢い紫外線対策を考えること。どこまでするかは、自分の価値観で決めることが大切です。

吉木 伸子 皮膚科・美容皮膚科医院長

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よしき のぶこ / Nobuko Yoshiki

皮膚科・美容皮膚科「よしき皮膚科クリニック銀座」院長。皮膚科医。1993年横浜市立大学医学部卒業、 同年慶応義塾大学病院 皮膚科学教室に入局。1994年浦和市立病院(現さいたま市立病院)皮膚科勤務。1996年埼玉県大宮市(現さいたま市大宮区)のレーザークリニック勤務。その間、アメリカ・オハイオ州クリーブランドクリニック形成外科、日本漢方研究財団附属渋谷診療所にて、美容医療および東洋医学の研修を行う。日本美容学校皮膚科非常勤講師を兼任。
1998年「よしき皮膚科クリニック銀座」を開業、現在にいたる。TV出演や雑誌の連載など多数。主な著書に『美容皮膚科医が教えるあこがれ「美人」のつくりかた』(日本文芸社)や『いちばん正しいスキンケアの教科書』(西東社)などがある。
 

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