共和党候補がトランプに絞られたのは必然だ

討論会を通じリーダーシップへの期待高まる

その後ニュージャージー州知事のクリス・クリスティーに経験の乏しさだけでなく、ルビオが実績としてあげたヒズボラの制裁法案の採決に欠席していた事実を指摘され、「そんなものはリーダーシップじゃなくズル休み」とまで叩かれたが、反論できないばかりか、「オバマは確信犯だ」と先程と同じ文句を繰り返した。

さらにクリスティーが「アドバイザーがくれた25秒の暗記したスピーチは何の問題も解決しない」とやりかえすと、なんとルビオは批判されたばかりの25秒の同じ文句のスピーチをまた繰り返してしまったのだ。 

その時点で、筆者ばかりでなく1300万人のテレビ討論会の視聴者と、おそらくそれを上回るネットでの視聴者の頭のなかには大きな疑問符が浮かんだと思われる。

ルビオは実際、トランプらに批判されているようにオールトーク、ノーアクション(口ばっかり)の候補者なのではないだろうか、という不安が頭をよぎった。少し後にダメだしのようにルビオが4度目のロボット演説を始めると、会場からも大きなブーイングが聞こえた。

これは皮肉な結果だった。本来ならばルビオの主張は、トランプに対する強烈な批判になったはずだ。トランプは、オバマ大統領は「自分のやっていることがまったくわかっていない」と決まり文句のように言っていた。ルビオの主張は、オバマ大統領は経験不足だったからダメなのではなく、意図的にアメリカを北欧のような社会主義国家に変えてしようとしているから危険なのだ、というもの。トランプの決まり文句の薄っぺらさに対する批判であり、かつ1期目の上院議員が無能であるというルビオ自身への批判をかわすべき重要な論点でもあるはずだった。

痛恨のオウンゴール

予備選では、テッド・クルーズよりも原理的な自由主義者のランド・ポールが撤退し、「本来の保守がなにか」を問う候補者がいなくなり、思想的な対立もほぼ見られなくなっていた。ルビオは共和党の未来を定義する原則について議論を深めることもできたのに、同じ文句を暗唱してしまったことで、その後の発言にまったく説得力がなくなってしまったのである。予備選のファイナルでの痛恨のオウンゴールだった。しかもルビオだけでなく、民主党とのイデオロギー対立までもが陳腐化したかに思えた。

次にルビオが「大統領不適格者」であることを見せつけてしまったのが2月25日のテキサス州の討論会でのトランプとの直接対決だった。この討論会は、ルビオ対トランプの中傷合戦となった。単なる殴り合いのような個人攻撃が続いたのだが、やはりここでもルビオの未熟さをおもわせる場面があった。

ルビオは「移民問題を最初にとりあげたのが自分だけというなら、この壇上で不法移民を雇用して罰金を科されたことがあるのも自分だけと認めてはいかがです?」とトランプにせまった。トランプはすかさず「この壇上で人を雇用したことがあるのは自分だけだ。きみは雇用を生み出したことなんかない。私は何万人という人たちを雇ってきた。きみは自分のクレジットカードの問題があったぐらいで一人の雇用も生み出していない」と返したのだ。

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