「北海道新幹線と貨物とのすれ違い」を初体感 開業日の青函トンネル、衝撃や振動は皆無!

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新青森では約4分停車、ここでJR北海道のクルーに交代する。発車後はスムーズに加速。新規開業区間に入って、すぐに線路に設置されていた「散水消雪システム」が消えてなくなる。ここから先は「温水で融雪しても凍ってしまう寒冷の地」ということだ。津軽半島を滑るように進む新幹線からの風景は素晴らしい。山々はまだ雪景色だが、陸奥湾は早春の光に満ちており、今後四季折々の風景が楽しめる区間と思われた。

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青函トンネルに進入した瞬間の「はやぶさ47号」車内の表示

手元のGPS速度計アプリでは時速240キロの表示が続くが、やがて山間部に入ると共に減速がかかると、両側から在来線が上ってきて合流、ここから「新幹線の標準軌」と「貨物用の狭軌」が共用する「三線軌条区間」となる。

ほぼ時速120キロで慎重に走行する中、奥津軽いまべつ駅を通過。やがて7つの短いトンネルを通過すると、右手にチラッと海峡の海が光ったのを合図に青函トンネルに進入する。

貨物列車とのすれ違いは?

在来線時代は、新青森から青森でのスイッチバックを経て、単線の海峡線をゆっくり進んで青函トンネルに達するまでは「一苦労」だったが、新幹線はこの区間をほんとうに瞬時に走り去ってしまう。

トンネルに進入すると、予想通り車窓は瞬時に曇った。冬の寒気に冷やされた車体が、年間を通じて約20度に保たれているトンネル内の湿気に包まれての結露である。この点だけは、「スーパー白鳥」など過去の在来線列車と全く変わらない。

だが、乗り心地は全く異次元だ。厳密に保線された新幹線の標準軌スーパーロングレールをE5は極めてスムースに進んでいく。最深部へと向かう下り坂を速度を保って粛々と進む姿勢には、北陸新幹線の「碓氷峠の下り」同様にデジタルATCの効果を感じる。

竜飛定点に差し掛かる時点で、最初の貨物列車とすれ違った。風切音も少なく、振動は皆無で、懸念された「新幹線と貨物のすれ違い」の第一印象は安全そのものだった。最深部に到達、ここでは恐らく時速120キロ程度まで落として慎重に通過しているようだったが、やがて上り坂に転じると、ノッチが入って加速していく。トンネル内の時速140キロの速度規制というのは、「遅い」と問題になっているが、体感するスピードとしては、この「登り」には十分な疾走感はあった。

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