(このひとに5つの質問)石田健二 CFSコーポレーション会長兼社長

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(このひとに5つの質問)石田健二 CFSコーポレーション会長兼社長

調剤薬局アインファーマシーズとの経営統合に、CFS筆頭株主のイオンが猛反発し、委任状争奪戦へと発展。このタイミングで統合を決断した理由を石田会長が本誌に語った。(『週刊東洋経済』12月29日-1月5日合併号より)

競争はさらに厳しくなる 経営統合は必須条件だ
 
1 アインファーマシーズとの経営統合を決めた経緯は。

 2007年2月に経営統合の構想が出て、イオンの岡田元也社長とアインファーマシーズの大谷喜一社長と、三者で話し合った。岡田社長は統合より自力でのV字回復が優先課題だと、統合を認めてくれなかった。だが、私は統合をあきらめきれず、アインと話し合いを進めてきた。

 岡田社長は9月29日になって突然計画を持ちかけられたと言っているが、われわれはそれ以前に話をしていた。イオンにとって本当の問題は、アインとの統合で持ち株比率が減るところにあるのだと思う。現在、イオンは当社の筆頭株主(15%)だが、統合後は第4位の株主になる。

2 なぜイオンの反対を押し切って統合計画を推し進めるのでしょうか。

 自力でのV字回復は当然達成するが、それを待ってから統合を決断するのでは遅い。(09年から)改正薬事法が施行されると、(規制緩和によって販売業者が増え)スーパーなどとの競争も激しくなる。ドラッグストアは専門性を高めなければいけない。調剤は今後のドラッグストアの核になる。それには調剤薬局業界最大手のアインとの統合が必須条件だ。私の年齢(75)を考えると、もう時間がないから早く実現したかった。

3 そもそも、00年にイオンが出資するドラッグストア連合に加入した理由は。

 そのグループが設立された当初は岡田卓也氏(当時会長)の時代。彼は「緩やかな連携」を掲げていた。イオン主導で出店エリアが調整されるという期待があった。15%もの出資比率に戸惑い、比率を下げてもらえないかとお願いしたこともあった。だが、乗り遅れてはいけないという危機感から加入した。今考えれば、これが問題だった。まぁ、スギ薬局をはじめ、何社かがグループを抜けたという事実を考えれば、私が詳しく説明しなくても何か理由があると想像つくでしょう。

4 イオンから代替案を提示され、石田会長自身が悩んでいるという話もありますが。

 悩んでいる? とんでもない。アインとの経営統合は私の夢だけではなく、生き残っていくため、株主価値を高めるための必要条件だ。ただ、イオンとは今後も友好的な関係を維持したい。

5 委任状争奪戦の勝算をどのように考えていますか。

 株主の多くは当社の元社員や元役員、取引先など。地元の静岡県にも株主が多い。われわれの経営統合案をよく説明し、メリットを理解していただければ、険しい山も乗り越えていけると信じている。

(書き手:佐藤未来 撮影:今井康一)

いしだ・けんじ
1932年生まれ。55年に東京薬科大学卒。69年ハックイシダ社長に就任。日本で初めて米国型ドラッグストアを導入。業界ではカリスマ的存在。

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