事後レポ

ソーシャルテクノロジーとソリューションの活用で企業価値を高める

企業が持続的な成長を遂げていくためには、社内の情報や社員の知識を整理し、連携させてパワーに変換していくことが必要。そのためのツールとして今、ソーシャルテクノロジーが注目され、期待されている。ソーシャルテクノロジーを新たなコミュニケーションツールとしてどう活用すれば、企業の変革を実現していくことができるのか。企業のケーススタディなどを紹介し、議論するフォーラム「企業が持続的な成長を続けるためのソーシャルテクノロジー経営」が2月、東京・千代田区で開催された。

主催:東洋経済新報社 協賛:リコージャパン

基調講演
ソーシャルテクノロジーの活用で企業内情報革命を起こす
~企業価値向上のためにコミュニケーションとどう取り組むべきか~

夏野 剛
慶應義塾大学
政策・メディア研究科
特別招聘教授

 「1994年から2014年までの20年間に日本の名目GDPはわずか5%ほどしか成長していない。だが同じ期間に米国のそれは約150%も伸びている。どうしてこれほどの差が開いたのか」。夏野氏はまず聴衆にそう問うた。そして今や日本はOECD加盟国の中でも生産性が最も低い国のグループに入っていると指摘し、「日本はITを生かし切れていない」と断じた。

 IT革命とは、効率と検索とソーシャルの革命であり、それは複雑系的知識ネットワークを現実のものとし、個人の能力の最大化と多様化社会への変革を引き起こした。一方で第4のIT革命とも言うべきAI(人工知能)革命も始動している。昨年はついにAIの画像認識能力が人間を凌駕し、大きく流れが変わった。「だが、日本の社会や企業の多くはそうした変化に対応し切れていないのが現実だ。環境が変わったのに多くの企業は組織も仕事の仕方も変えていない。単一性を重視するために環境の変化に対応できない面がある。そうしたことがこの間の日本の停滞を招いたのではないだろうか」。

 それでも「悲観論に終始するわけではない」と夏野氏。「豊富な資金力、教育水準の高さ、世界トップレベルのものづくりの技術とITインフラなど、日本は大きなポテンシャルを持っている。これからは、想像力と創造力を駆使して課題を発見し、新しい付加価値を創出できる人材こそが時代を担う。何か新しいものが出てきたときに過去の経験に照らし合わせてとりあえず使わないようにするのでは、日本の力はますます衰えていく。新しいものはとりあえず使ってみるという方向に転換し、できるところからシステムを変えていく。そうすれば日本はまだ伸びる余地があるし、世界をリードすることができる」と夏野氏は語った。

事例講演1
ソーシャルの活用でマーケティングが、経営が変わる。
~ライフネット生命とお客様が直接的な接点を持つソーシャルテクノロジーの導入と改善について~

岩田慎一
ライフネット生命保険
営業本部 マーケティング部長

 08年創業のライフネット生命保険は、ウェブ上で生命保険の見積もりから申し込みまで行えるモデルで実績を伸ばしてきた。さらに、生保は信頼が大事であるという認識から、企業理念への共感を広げ、コストをかけずに認知度を高め、ネットで保険を買うというモデルを浸透させるためにソーシャルテクノロジーをいち早く活用してきた、と同社の岩田氏は指摘。出口会長と岩瀬社長の2トップが自らソーシャルメディアで情報発信していることを紹介し、そのフォロワーが約9万人いることに触れ、「ゼロコストで9万人の方に一次情報を提供できている」とした。

 また同社に対するつぶやきも検索し分析して、ファンづくりにつなげているという。そして、最近はソーシャルを通じて同社のことを知った顧客が増えていると明かし、「ソーシャルテクノロジーはネットを介していてもぬくもりのあるメッセージを伝えることができる。コミュニケーションが変わってきていると感じる」と語った。そのうえでソーシャルの活用でマーケティングや経営を変えるためには、ストーリーが感じられることや、正直にとにかく発信し続けることが大事だと結んだ。

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