改正産活法に基づく出資円滑化支援の格付けへの影響《ムーディーズの業界分析》


コーポレートファイナンス・グループ
アナリスト 廣瀬 和貞
金融機関グループ
VP−シニアアナリスト 山本 哲也

 「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(産活法)」は、生産性向上を目指す事業者に対して税制や金融支援などを行う法律であるが、金融危機による資金調達への影響を緩和すること等を目的にして、改正案が2009年6月に施行された。この法改正に伴い、同法の認定を受けた企業に対する日本政策投資銀行(DBJ)等の指定金融機関の出資に対し、日本政策金融公庫(JFC)からの損失補填がなされることとなった。具体的には、(1)金融秩序の混乱による経営状況の急激な悪化、(2)出資の必要性、(3)国民経済への影響(雇用や取引企業への影響)、(4)民間金融機関による出融資等が認定の条件となる。支援の対象となる企業の認定は、政府が行う形となっている。指定金融機関からの出資枠は2兆円で、2010年3月末までの時限的措置となっている。

1.事業法人格付けへの影響

改正産活法に基づき、金融危機によって業績が悪化した格付け対象企業に対する出資が行われれば、ムーディーズは以下の理由から格付け上、ポジティブであると考える。

--支援対象企業のキャッシュフローと財務内容が改善すること。
--政府の関与によって、民間金融機関による融資継続の確度が高まり、対象企業の流動性の面での懸念が低下すること。
--政府や政府系金融機関も含めて、対象企業の経営へのモニタリングが強化されること。

特に短期的な財務内容や流動性に対する懸念が低下するため、格付けを下支えする効果があるものとみられる。しかしながら、格付け水準を高めていくためには、支援対象となる企業が中長期的に事業競争力を改善し、収益性ならびに財務内容を改善することが必要条件となろう。また、改正産活法に基づき、資本注入を受ける会社は、独自に市場から資金調達を行う企業と比較すると、たとえ財務内容が等しく改善したとしても、財務の柔軟性には格差が残る。

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