「保活」はロジカルシンキングで上手くいく? MBAママが保育園を探してみた

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しかし、調べてみれば、満たすべき国の基準というのが何十年も前に定められたもので、今の東京の住宅事情だとかなり厳しいと思われる床面積の広さや、園庭の広さを備えていなければならないという、ちょっと時代錯誤の条件だということがわかります。

だから無認可となっている理由も、「建物の構造上、認可基準である車椅子用トイレや非常時用の滑り台が設置できないから」「より多様なオリジナルカリキュラムを提供したいからあえて認可をとらない」という園もあるようです。認証や無認可の保育園を調べれば調べるほど、「認可にこだわらなくても質の高い保育サービスを受けられそうだ」ということがわかったりします。

よく調べれば、「車椅子用トイレの設置」という基準は満たしていないけど、自分にとっては重要なポイントではない、ということだってありえます。だから、最初から「認可でなければならない」などと狭めて考える必要はないのです。

さらに、認可保育園は保育料が安いと思われがちですが、収入によって保育料が決まるので、共働きの高収入家庭にとっては、認証保育園や無認可保育園のほうが安かったりします。

雨=解釈

このような地道な情報収集を行って事実がわかってはじめて、次の「雨」の解釈・予想の段階で、自分がとるべき道がわかってきます。

「この地域で我が家の点数だと認可に入れそうだ」
「早い者勝ちで決まる認証保育園ならなんとかなりそう」
「無認可保育園のほうがうちの子には合うだろう」
「この地域では逆立ちしても受からないから、いっそのこと引っ越したほうがマシだろう」

などという解釈ができます。人によって解釈が分かれるので、偏らず自分の目で確かめた事実に基づいた解釈を何パターンか導き、その中で一番合理的な解釈を選ぶ習慣が必要です。

「傘」=判断、行動の決定

さて、最後に「傘」の判断を行い、行動を決定します。

「無認可でも入りやすい園と、認可保育園を併願しよう」

「区内の認可よりも、区外の認証や無認可のほうが自分にとっては便利だ」

「どうしてもだめな時は、べビーシッターをプランBにしよう」

と、当初考えていたものよりも、より広い選択肢で、行動を選べると思います。

なお、この「空・雨・傘」のフレームワークは、3つのプロセスのうちどこかが抜けていると問題解決につながりません。

「空」が抜けると事実に基づかない当てずっぽうな解釈を生んでしまいます(認可保育園に入れなければ、もう人生終わりだ)。

「雨」が抜けると客観性に乏しい判断をしてしまい、間違ったまま進んでしまうこともあります(しなくてもいい引っ越しをして疲れ果てる、など)。

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