新政権に降りかかるエコカー減税の矛盾

拡大
縮小

だが今後、エコカー減税が継続されるかはわからない。「マニフェストにはやめるとも続けるとも書いていないが、税収から考えて両立は難しいのではないか」と多くの業界関係者は不安を隠さない。

現状ではプリウスやインサイトは100%減税で、フィットやヴィッツは75%減税。エコカー減税が打ち切られて暫定税率の撤廃のみになれば、こうした人気車種が実質的な“値上がり”となってしまう。

自動車業界としては上り調子に水を差されてはたまらない。青木・自工会会長も「エコカー減税をやめる動きがあるとは認識していない。当初計画どおり3年間しっかり維持してもらいたい」とくぎを刺す。

重いほど“エコ”の矛盾 特別仕様車が続々発売

維持か打ち切りかに注目が集まるエコカー減税だが、一方でその仕組みに疑問の声も上がっている。

「エコとは言えないような車が減税されている」と指摘するのはあるアナリストだ。「わざわざサンルーフを付けて車重を増やした車がエコカーに認定される、そんなばかなことが起きている」。

カラクリはこうだ。ガソリン自動車はもともと車両重量に従って9ランクに区分され、各ランクに燃費基準値というものが定められている。たとえば1266~1516キログラム未満の「区分5」ではガソリン1リットル当たり13キロメートルが基準値となる。

今回のエコカー減税では、低排出ガス車で、かつ区分ごとの燃費基準値に対して燃費改善幅が15%以上の車(区分5なら1リットル15キロメートル走る)を50%減税、25%以上の車(同16.3キロメートル)を75%減税にする。

ランクが上がる(車重が重くなる)ごとに、燃費基準値は緩く設定されている。5の上の「区分6(1516~1766キログラム未満)」の燃費基準値は1リットル10.5キロメートル。この場合は1リットル12.1キロメートル以上で50%減税、13.1以上で75%減税となる。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT