早くも参院選挙対策、民主党政権が生保で“ウルトラC”?

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軽減税率は当面維持か 生保の株式会社化を促進?

気になるのは証券税制の行方。配当と譲渡益に適用する軽減税率10%の是非について、民主党は「当面は現状維持」と明言を避けている。鳩山由紀夫代表は、母方の祖父がブリヂストン創業者。中学生時代にブリヂストン株の生前贈与を受け、今や350万株(約60億円)も保有しているので、株式投資には理解がありそうだ。

ただ、党全体としては旧社会党勢力を中心に、「投資促進税制は金持ち優遇」との考えは根強い。そこを「小沢幹事長が選挙前からがっちり押さえつけてきた」(小沢氏側近議員)という。選挙目当てかどうかは別として、株価を下げる政策は当面、出てこないだろう。

保険業界では、株式会社化が消費刺激のウルトラCとして使われることに警戒感が広がっている。わかりにくいが、カラクリはこうだ。第一生命保険は株式会社に衣替えするに当たり、契約者の出資金を株式に振り替えることにした。このうち1株に満たない部分は現金で給付される。ざっと700万人超に臨時収入が降ってくるわけだ。

契約者は単なるお客さんのつもりで保険に入ったはずが、突然おカネが入ってくる。貯蓄に回れば生活にゆとりが生まれ、消費に回れば景気を刺激する。どちらにせよ民主党政権にはプラスに作用する。

民主党は、第一生命の例を研究し、生保の株式会社化が「家計への資金還流」の大方針に合致し、労せずしてカネを動かせる打ち出の小づちになりうることを知ってしまったようだ。政権与党として相互会社への規制や課税を強化すれば、日本生命や明治安田生命など、他の大手生保も株式会社化せざるをえなくなる。そうすれば、麻生政権の定額給付金を上回る資金フローが生まれ、少なからぬ経済対策効果が見込める。小売りやアパレルなど内需企業には、思わぬ援軍となりそうだ。
(オール投資編集部)

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