瀬戸際の日本航空再建、外資登場でも混沌

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瀬戸際の日本航空再建、外資登場でも混沌

経営危機に瀕する日本航空(JAL)が世界最大手の米デルタ航空、同2位の米アメリカン航空と資本提携交渉に入っていることが明らかになった。金融機関の追加融資の前提となる抜本的な再建計画提出期限が今月末に迫り、策定作業は大詰めを迎えている。ナショナル・フラッグ・キャリアに対する外資航空会社の出資となれば異例だ。だが、国土交通省や金融機関、新政権による思惑が複雑に絡み合い、再建の行方は依然混沌としている。

膨らむ資金調達額 外資支援は不透明

昨年来の不況と新型インフルエンザのダブルパンチによる旅客需要の低迷で、JALは2009年4~6月期990億円と過去最大の赤字に転落した。資金繰りの急速な悪化で、6月には日本政策投資銀行(政投銀)などから1000億円規模の緊急融資を取り付けたばかり。それでも、年後半には社債償還や借り入れ返済が控えており、十分ではない。追加で1000億円程度必要と見ていた資金調達規模は、リストラを加速させることから倍以上へと膨らむ見通しだ。

 監督官庁の国交省は8月20日、JALの経営改善を支援するため、異例の有識者会議を開催。金融機関やJALの西松遙社長も参加し、計画の策定を進めていた。そして2回目となる9月15日の会議前に急きょ浮上したのが、今回の提携交渉だった。

実は6月の緊急融資後、国交省航空局の幹部は「太平洋路線の多いノースウエスト航空を買収したデルタと組めば、共同運航の効果が大きい」と話しており、デルタとの交渉を後押ししていた。

一方、JALは「ワンワールド連合」の下、マイレージや共同運航で提携するアメリカン航空との関係強化を模索。「スカイチーム」という別連合に所属するデルタと組むには、ワンワールドを離脱する必要があるため、「違約金は数百億円、(新連合に入るための)システム共通化などイニシャルコストも大きく、提携効果に2~3年かかる」(業界関係者)。

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