【産業天気図・証券業】株価急回復受け最悪期脱すがリスク残る。注目は独立系とメガバンク系の主導権争い

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 そして、足元では波乱が起きた。米シティグループ傘下の日興コーディアル証券の争奪戦に勝利を収めた、三井住友フィナンシャルグループ<8316>(SMFG)と、法人証券で合弁会社「大和証券SMBC」を運営する大和証券グループ本社が、合弁事業の解消を決めたのだ。大和証券グループ本社は、12月末にSMFGが保有する大和証券SMBC株(出資比率40%)を2000億円程度で取得する。1999年の資本・業務提携から10年。日興買収を機に、SMFGが狙った「大和−日興−三井住友大連合」は幻の構想に終わった。

大和が単独の独立系証券会社として、野村やメガバンク系証券とどう伍していくかは注目されるところだが、昨秋の野村によるリーマン買収で始まった国内証券大手をめぐる再編は、とりあえず一段落した。

この夏、銀行業と証券業の規制上の隔壁(ファイアウォール)が緩和され、顧客情報の共有や役職員の兼務などが可能となった。メガバンクを中心に銀行がますます証券界に攻め入る構図が鮮明となる。軍配が上がるのは、独立系か銀行系か。日本の証券界は、新たな競争ステージに入った。

(武政 秀明)

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