海外投資家はいつ日本株買い越しに転じるか 全人代終了後の中国は日本株の下支え要因に

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中国全人代での習近平国家主席(左)と李克強首相(右)(写真:UPI/アフロ)

海外株式市場では米国のダウ平均が7連騰を交え、年初来でプラス圏を回復。チャート上では長期のトレンドをみる200日移動平均線を上回ったあとも順調に推移しています。株価の変動要因となる金融政策の方向性が安定したとは言い切れないし、米企業業績、米経済指標に明確な方向感は感じられない、にもかかわらず買われている。昨年5月の史上最高値まで約6年上昇し、体力をかなり消耗しているはずなのに。

昨年の人民元ショックからの立ち直りと同じように下げてもすぐ高値圏を回復する強さは、いったい何を示唆しているのでしょうか? 短期的には上昇一服の可能性が高く、次の利上げが予想されている6月ぐらいまではなかなか方向感は出にくいのではないかとも思いますが、長期チャートでみれば高値もみ合いが続くかたちになっており、その上下運動で蓄積されたエネルギーはいずれ株価上放れにつながっていくのでしょう。

全人代の前と後で大きく異なる投資家行動

上海総合指数も2月後半に付けた高値のフシを上回ってきました。先週、中国の全人代(全国人民代表大会)が終わりましたが、過去6年間で全人代開催期間中と全人代終了後の10日間の動きを比べると特徴的なことがわかります。上がるか下がるかは別にして、全人代の開催期間中の変動率はおおむね小さいのです。全人代で決まる政策などが株式市場に影響を与えうるため、手控える投資家が多く当然といえば当然なのです。今年も開催前3月4日~16日終了までの変動率は0.13%とやはり小さかった。

逆に、全人代終了後の変動率は相対的に高くなる傾向が強いのです。開催期間中に手控えた反動で売買が活発化することや、上昇のケースでは財政支出の中身が吟味されて物色意欲が高まる。物色の方向性が決まっていくといった好循環になりやすいといえます。

変動率が大きくマイナス方向になった年もありますが、2010年、2011年は年間を通じて下げ相場だったにもかかわらず、全人代終了後だけは上昇しました。そういったことを踏まえると、今年も年初から大幅に下げているため、今週はプラス方向に変動率が高まることに期待できる。仮に米国株が短期的に調整しても、相対的に出遅れ感の強い日本株の下支え要因にはなるでしょう。

その日本株には、今週は主に3月本決算銘柄への権利・配当取り目的の駆け込み的な買い需要の発生が予想されます。先週のように円高・原油高の同時進行が再び現れると、自動車を中心とした輸出関連株の下げが日経平均などの指数の上値を抑える展開になることが考えられますが、中国市場からの援軍があれば下値は限定的でしょう。

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