【産業天気図・半導体】低水準ながら改善の兆し。不透明感強い年末商戦を無事に越えれば回復へ

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  09年10月~10年3月    10年4月~9月

 半導体産業は2009年度後半は依然として水準は低いものの、需要は底打ちし稼働率は改善、メモリ価格も上昇基調にある。年明け以降の不透明感は残っており、増産投資には慎重姿勢が続くが最悪期は脱しつつある。

メモリ価格はDRAM、フラッシュメモリとも上昇している。09年前半にはDRAMの独キマンダ、フラッシュメモリの米国スパンションが経営破綻した。このほかにも資金繰りに窮した各社が減産した結果、供給力が落ちた。一方、ネットブックのような格安パソコンの普及でDRAM需要は増加している。フラッシュもアップルのアイフォン向けなど需要は伸びている。
 
 結果、昨年末に60セントを割り込んだDRAM価格(1ギガビット(DDR2)のスポット価格)の平均価格は1.5ドルを突破している(足元は1.6ドル台)。DRAMメーカーがより高性能のDDR3へシフトしたことで品薄感が出たDDR2の価格も上昇基調にある。

このためエルピーダメモリ<6665>は9月にも営業利益ベースで黒字化する可能性が高くなっている。同社は優先株による300億円の資本増強を済ませ、公募増資を発表するなどこの機会に勝ち残れるだけの体力強化に余念がない。台湾政府が進める台湾メモリとの提携と、台湾への増資は未定のままだが、先行きに明るさが出てきた。
 
 フラッシュメモリの上昇で東芝<6502>の半導体事業も改善が見込める。システムLSIも製品によっては稼働率はほぼ100%(ただし、休止設備の再稼働まではいっていない)のものも出てきた。NECエレクトロニクス<6723>、ルネサステクノロジ(非上場・日立製作所<6501>、三菱電機<6503>の持ち分適用)も赤字幅は縮小傾向にある。ただ、最終消費の弱さからか、下期のセットメーカーからの受注動向はまだ見極めがついていない。年末商戦が大きく落ち込むと再度、年明け以降の半導体産業が落ち込むことも懸念される。
 
 製造装置も少しずつ明るさが見えているが、微細化投資が主体であり、本格的な増産投資は(液晶など)一部を除いてまだまだ弱い。
 
(山田 雄大)

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