細川連立政権は8カ月で沈没、来春までの8カ月が勝負の鳩山連立政権

細川連立政権は8カ月で沈没、来春までの8カ月が勝負の鳩山連立政権

塩田潮

 自公に代わる民社国連立の政権合意が「09年9月9日」に成立した。「トリプルナインとは幸先がいい」という声もあるが、「三重九(三重苦)」の連立と言えなくもない。

 三重苦の第1は政策の中身だ。民主党は、外交と安全保障で社民党と、郵政見直し問題で国民新党と、必ずしも一致しない部分があり、玉虫色の決着となった。今後の政権運営で内紛の火種となる恐れがある。
 第2は連立与党の政策協議機関が議論になった。「党高政低」の自民党型政治の排除を唱える民主党は、一貫して政策決定の内閣一元化を主張しており、譲れない一線だった。ところが、社国両党は閣外の協議機関による政策決定システムを要求した。この方式だと、小沢民主党幹事長の主導になる可能性があり、下手をすると、細川連立政権の二の舞いになる。結局、民主党は譲らず、社国両党は福島、亀井の両党首が入閣して閣内の基本政策閣僚委員会で議論することで譲歩した。
 第3の問題点は両党首の処遇である。鳩山新首相が両党に遠慮しすぎると「民主党政権」を望んだ民意からかけ離れ、政権が低迷し始める危険性がある。民社国連立は総選挙での3党の公約だが、民意は明確に「民主党政権」を選択したのだから、連立協議で議論となった問題も含め、民主党が責任を持って政策実現に当たる形を確立すべきだろう。

 民主党政権が直面する壁は「生きた経済」「生きた外交」「生きた政治」への対応力だ。市場経済とグローバル経済への理解が十分でなく、国際政治と世界情勢に対する認識も甘い。加えて「宇宙人」の鳩山新首相は欲望と嫉妬が渦巻く「生きた政治」についていけるのかという問題もある。とはいえ、俗界に惑わされない判断力、私欲のなさ、度胸のよさが武器の鳩山新首相は、案外、「強い指導者」の一面を見せるかもしれない。
 細川連立政権は8カ月で沈没したが、鳩山連立政権も来春までの最初の8カ月が勝負と見る。
(写真:今井康一)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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