日本の電子納税は「時代錯誤」になっている エルタックスの寒すぎる実態

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背景に存在しているのは、e-Japan戦略が残した負の遺産だ。かつて日本政府が目指していた電子政府実現の枠組みが実態にそぐわないものになり、クラウド、マルチデバイス、環境非依存といった現代では当たり前の情報システム環境に対応できなくなっていたのだ。

eLTAXの事務局に今回のシステム移行について問い合わせたところ「これまで利用されていたJava実行環境に代わるものとして、ActiveXコントロール以外の代替技術とのセキュリティ面を含めた比較検討を行い採用を図っております」との返答を受けた。

また、サービスの継続性に関しては「現時点でマイクロソフト社によるサポートが継続されております。今後においても当面の間は、マイクロソフト社のサポートがある状況のなかでご利用いただけると考えております」としている。

日本マイクロソフトの回答は?

本件について日本マイクロソフトに取材したところ「クライアント個別の案件については答えられない」と前置きした上で、マイクロソフトとしてはWindowsだけに閉じたシステムから、多様なデバイスで利用できるオープンなシステムへの移行を促しており、これまでのInternet ExplorerやActiveXコントロールに依存したシステムから、Edgeへの移行を促すセミナーを毎月1~2回の頻度で企業、公共機関、自治体などに向けて開催しているという。

確かに、最新のWindows 10ではEdgeとInternet Explorer 11、ふたつの異なるブラウザが搭載されているため、ActiveXコントロールがまったく動かないというわけではない(ただし、eLTAXの申し込みシステムは現時点でWindows 10での動作を保証していない。動作検証が間に合わなかったためだという)。

そもそもWindowsでしか動作しない仕組みを、多様なコンピュータが接続するWebという枠組みで運用する理由はない。多様なコンピュータで動作しなくて良いのであれば、Webブラウザを使わずとも専用のWindowsプログラムを提供してしまった方が、よほど手っ取り早い。利用者も混乱せずに電子申告の申し込みを行うことができるだろう。

なぜ、このような歪(いびつ)なシステムになっているのだろうか。

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