世界の自動車メーカーは転換期に、各国の政府支援もかえってアダに《スタンダード&プアーズの業界展望》

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縮小


 4輪車生産台数の減少幅は、2月の前年同期比56%減から7月には32%減と徐々に縮小している。日系メーカーでは大幅減産により在庫調整が終わり、生産を徐々に増やしつつある段階だが、スタンダード&プアーズは生産台数の回復は緩やかなペースにとどまり、年内は前年を30%程度下回る水準で推移すると予想している。

在庫調整は一段落したものの、景気や需要の回復見通しの不透明感が依然として強いなか、自動車メーカーは需要に合った生産体制の再構築という課題を引き続き抱えており、余剰生産能力への対応を迫られている。

自動車事業にオペレーティングレバレッジが高いという事業特性があることに加え、多くの日系メーカーが過去数年間、海外市場での需要の拡大に合わせて生産能力増強を行ってきた結果、減価償却費などの固定費が膨らんで、収益を圧迫している。各社は収益改善のための緊急施策を実施して、人件費を中心とした固定費の削減に取り組んでいるものの、低迷する稼働率の改善なしには、その効果には限界がある。

トヨタが先日発表した、GMとの合弁事業NUMMIへの生産発注打ち切りも、生産体制の再構築の一環と捉えられ、今後業界でさらに余剰生産能力削減の動きが加速していく可能性があるとみている。

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