県立静岡がんセンターの挑戦、病院と企業をつなぎ医療現場のニーズを形に

県立静岡がんセンターの挑戦、病院と企業をつなぎ医療現場のニーズを形に

がん治療の現場では、長い間ある悩みを抱えていた。放射線治療などを受けたがん患者は、口の中の衛生状態悪化により合併症を併発しやすい。それに対し適切な口腔ケア製品がない、という問題だった。

そのがん患者用の口腔ケアシリーズが、6月下旬、サンスターから発売された。「バトラー」発売の会見翌朝から、サンスター広報室には電話が相次いだ。「こんなに反響があるとは」(近藤尚・新規開発グループ長)。発売後1カ月で問い合わせは60件。歯磨き剤など、通常はよくて10件程度だ。件数もさることながら、何よりの驚きは、これまで取引のなかった大病院や、医療卸からの問い合わせが過半を占めたことだ。

バトラー誕生の推進役となったのは、静岡県立静岡がんセンター(以下、がんセンター)を拠点に活動する「ファルマバレーセンター(以下、ファルマ)」だ。県の医療産業振興プロジェクトから生まれた財団法人。医療現場のアイデアと企業を結び、一歩一歩実績を積み上げている。

打つ手なく焦る医師 現実を知った企業の衝撃

ファルマが間に入り、がんセンター歯科口腔外科とサンスターの共同開発プロジェクトが始まったのは、2006年5月。「われわれにとって初めての経験だった」と、大田洋二郎・歯科口腔外科部長は振り返る。サンスター側はこれまで疾患に伴う口腔トラブルの製品を手掛けたことはなく、開発に一製品としては異例の3年間をかけた。

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