5歳の息子の命を奪った母は何を見たのか

いくら後悔しても、笑顔は二度と戻らない

愛する息子をなぜ・・・(写真:akiyo / PIXTA)
「どうしても伝えたい」
裁判所の傍聴席で日々取材する記者が、強く心に残った裁判の模様を綴る、朝日新聞デジタルの連載「きょうも傍聴席にいます」
新聞では報じられないような小さな事件の驚きの背景、秘められた被告の思い――。
「泣いた」「他人事ではない」と毎回多くの反響が寄せられる人気連載をまとめた書籍『母さんごめん、もう無理だ~きょうも傍聴席にいます~』が、発売になりました。
記者が見つめた法廷の人間ドラマ29編のなかから3編をお届けする、3回連載の第2回です。(文中に登場する人物の名前は仮名、また年齢は公判当時のものです) 

なぜ愛する息子の命を奪ってしまったのか

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

「おかあと結婚する」。5歳の息子は、口癖のように繰り返した。こっそりと用意したランドセル。背負ったら、どんなに喜ぶことだろう――。なのに母親は、その姿に接することもなく、息子に家庭用のごみ袋をかぶせ、命を奪ってしまった。

9月25日午前10時、東京地裁の715号法廷。傷害致死罪に問われた原千枝子被告(42)の姿があった。

裁判員裁判での審理。初公判の傍聴席は、ほぼ満席だ。

被告「私がしたことで……忠志が亡くなったことに間違いありません」

黒のカーディガンとパンツ姿。消え入りそうな声で起訴内容を認めた。

検察側の冒頭陳述や弁護側の主張に基づく事件の構図は、こうだ。

原被告は東京・目黒の自宅で、夫と4人の子ども6人で暮らしていた。

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