「10年で変わらなければ東京は完全にダメになる」−−森ビル社長 森 稔

「10年で変わらなければ東京は完全にダメになる」−−森ビル社長 森 稔

六本木ヒルズや、その原型となったアークヒルズ。森ビルの開発によって東京の姿は大きく変わった。海外でも中国・上海で、世界第2位の高さを誇る超高層ビル「上海環球金融中心」の完成を間近に控える。
 森ビルの総帥がその先に見据えるのは、東京での大規模な「国際金融センター構想」である。六本木、赤坂・虎ノ門、新橋の3エリアを重点開発し、東京・港区をニューヨークやロンドン、上海に次ぐ世界的な金融拠点に変貌させる一大計画だ。
 国際競争力を失いつつある東京が世界の中で生き残るには。そして国内の都市間格差をどう考えるべきか。都市開発のキーマンに聞いた。

--東京を国際金融センターにすべきだとおっしゃっていますね。しかし、森ビルだけでできる話ではない。当然、国や自治体、世論をも動かさなければなりません。どんな取り組みが必要ですか。

まず、アジアの他の都市はもっと進んでいて、高度利用されていることを認識しないと。そういうことに危機感を持たずに、「東京は今のままでいい」なんて言っているようでは、もうどうしようもない。もっと外を見るべきです。

上海なんて1年も行かなかったら、まったく違う街になっていますよ。東京は本当に変わらないというか、意思決定のスピードが遅いですね。手続きばかりやかましくて。(地権者の)最後の一人が賛成するまで何もできないなんて、そんなバカげたことってありえないですよ。空港なども国際空港と国内空港の枠を変えられないとか、そんなことを言っているから、シンガポールにも後れを取ってしまったんです。

--日本はなぜ変われない?

今はグローバルな時代です。通信や輸送手段は国境を越えてしまっている。“鎖国”が通用する時代ではないんです。それなのに、日本は金融機関にしても、海外から来てもらうことはないと規制緩和もしない。そういう(島国的な)感覚が強いのではないですか。

街のつくり方にしても、一昔前の政策を十分にやり切れていないと考えている人が多いようですが、時代はすっかり変わっている。前提となる技術も今と昔とではまったく違う。本来なら昔とは逆の区画整理をしなければいけない時代なのに、古い枠の中に押さえ込んでいる。

--逆というと?

日本はいまだに昔の、後藤新平さんの時代に始まった街づくりを終えていないと思っていますが、今求められているのは違う街じゃないですか。新平さんの時代の都市計画では、仕事場や遊ぶ場所など目的を限って用途純化するのがいいんだと土地をどんどん細分化していった。しかし、これからの時代は職住接近とか、用途を複合的に考えていかないと街を高度利用できないんです。

--何が変われば、日本は動き出しますか。政治家ですか。

日本はいつも外圧を待つしかないというか……。今回、米『フォーチュン』誌の2007年アジア・ビジネスマン・オブ・ザ・イヤーに私を選んでいただいた。こういう形でわれわれの仕事が海外で認められることで、国内の理解もやっと進むのではないかと期待しています。

--外圧といえば、上海環球金融中心が外圧になるかもしれない?

このビルが成功すると、上海の金融センター化が一気に進んで東京が置いていかれることになりかねない。しかし、これだけ人口の多いアジアには、金融センターは一つではなく何カ所かあっていい。

ただ、その中で東京が一番であり続けると信じる人はもういませんね。戦前の上海は、貿易センターとしても東京のはるか先を行っていた。また、そういう時代が戻ってくるのかもしれません。

なにしろ、中国の人口は日本の10倍だ。経済力だってすぐ中国に追い越されるでしょう。だから、東京にとって参考になるのは、むしろシンガポールや香港かもしれない。

国際金融センターというのは、世界を相手にするものです。だから(自国の経済規模とは関係なく)、それが成立する必然的な要素を考えればいい。大事なのは制度の自由化、それと税制でしょう。それらがフリーなところに企業は集まります。それに加えて、文化レベルや生活レベルといったことが大切です。 

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