「宇宙人」総理が「猛獣」小沢幹事長を吸い込めるかどうか

「宇宙人」総理が「猛獣」小沢幹事長を吸い込めるかどうか

塩田潮

 鳩山新体制が動き出した。第一弾は「小沢幹事長起用」である。
 新政権の人事については、発足前に党幹部による政権移行チームで骨格を決めるか、鳩山主導で進めるか、党内に対立があった。移行チームでの人事決定で小沢氏のパワーを封印したいと人たちと、小沢氏の党運営を容認する人たちが綱引きを演じた。政権移行チーム構想は岡田現幹事長の持論のようで、今回も前向きだった。
 岡田氏自身には小沢氏封じ込めの意図はなかったようだが、中堅・ベテラン組に「小沢抜き民主党政権」を望む勢力があり、内紛の始まりかと言われた。「宇宙人」の鳩山代表は、もともと欲望や嫉妬が渦巻く人間模様に鈍感な面があり、初めは理屈で考えて移行チーム構想に乗りかけたが、途中で思い直した。

 経緯はともかく、小沢幹事長起用は、巨大与党の党内統治、連立交渉と政権発足後の連立与党の連携、来夏の参院選対策を考えれば、順当な選択である。「細川政権の二重構造の二の舞い」を懸念する声も多いが、当時とは政権の基本的な構造が異なっている。
 「小沢支配」となるかどうかは、小沢新幹事長の動き方よりも、やはり鳩山代表に「猛獣使い」の手腕と力量があるかどうかがポイントになる。

 その点についてはさまざまな見方があるが、鳩山氏の隠れたキャラクターも無視できない。剛腕型とは対極で、信念や主張にこだわるタイプでもなく、強力なリーダーシップとも縁遠いイメージだが、実はなんでも吸い込む「吸引力」が持ち味である。吸引力といえば、「軽量・凡庸・無力」と悪評だらけでスタートして途中から絶好調となった小渕元首相を思い出す。自ら「真空総理」と称して、なんでも吸い込む吸引力を自慢した。
 鳩山氏については、「『宇宙人』だそうだが、宇宙は真空。同じようになんで吸い込んで、それを自分のパワーに変えていく稀な政治家」と解説した人がいたが、「猛獣」も吸い込み、自在に使いこなせるかどうか。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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