ブリヂストンが放つ“ランフラット"の可能性、パンクOKの新タイヤが勢力図を塗り替える!?

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米国にはタイヤを使い捨て感覚でとらえている消費者が多い。新車にランフラが装着されていても、交換時には安いノーマルタイヤに履き替えてしまうドライバーが後を絶たない。米国でのランフラへの回帰率はわずか40~50%。欧州の90%超、ドイツの98%とは雲泥の差である。

しかし新法の施行でTPMSが急速に普及し、これまでの消耗品としてのタイヤへの無関心から、タイヤの空気圧にも目が向けられるようになれば、ランフラへ履き替えるドライバーが多少なりとも出てくるはずだ。彼らが次に新車を買うときには、ランフラ装着車を指定する可能性も高まる。

空気圧管理が世界の潮流 高価格を跳ね返せるか

実際TPMSは今や世界の潮流になりつつある。欧州委員会では12年からの装着を義務づける予定。日本でも、経済産業省と国土交通省が設置した低燃費タイヤ等普及促進協議会が、09年末までにTPMSに関する答申を行う見通しだ。ランフラにとって、本格的な好循環への軌道突入になりうる。

さらにもう一つ、環境意識の高まりもランフラには追い風である。

現在、年間に廃棄されるスペアタイヤは約5900万本にのぼる。また、スペアを積むと、タイヤの6キログラムにスペアホイール7・5キログラム、交換時のジャッキ3キログラムが加わり、車重分だけ燃費は悪化する。日本では国交省の保安基準にスペアタイヤ搭載を定める記述はなく、スペア未搭載でも車検は通る。しかしランフラに換えてスペアタイヤをなくせば、ノーマルより5%程度重いランフラの重量を差し引いても、10キログラムは軽量化でき、燃費向上につながる。 

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