iPhone「ロック解除問題」は日本にも波及する アップルとFBI激突、"端末情報"は誰のものか

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ティム・クックCEOやソフトウエア担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ氏は、テレビのインタビューや新聞などへの寄稿を通じて、この問題に対する姿勢への理解を求めている。

アップルは、バックドア(裏口)と呼ばれる回避機能を存在させること自体が、将来にわたる捜査当局の越権を許し、端末を危険にさらすことにもなると強調。クックCEOは顧客向けの公開書簡で「簡単にロック解除を命令できるなら、政府はすべての端末のデータを取得できる力を持つことになる」とつづった。

「顧客のデータを自ら進んで開示する企業の前例になりたくない」とアップルは主張しているのだ。

多くのネット企業が「アップル支持」を表明

また、2014年7月にはIBMと提携を結んで、法人向けモバイル分野で売り込みを強化してきた。個人ユーザー以上に高いレベルのセキュリティを求める企業ユーザーに対して、穴のあるソフトウエアを自ら用意する姿勢では信頼を欠くことになる、と考えているのだろう。

同様に企業顧客を抱える多くの大手テクノロジー企業もアップルの主張に賛同。アマゾンをはじめ、グーグルやマイクロソフト、フェイスブック、ツイッター、エバーノートといった米国企業が裁判所に対する法廷助言書を提出し、“アップル支持”を公式に発表している。

こうした法人ビジネスの面を差し引いても、シリコンバレーでは、今回の司法当局の要求は「行き過ぎ」であるとの見方が大勢を占めている。

しかしながら、米国民はアップル支持が多数派、とは言いがたい状況だ。この問題が表面化した当初、調査機関の世論調査では「ロック解除に応じるべき」と答えた人が過半数に上った。

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