総選挙は来夏までの1年に及ぶ 政治体制変革劇の「開幕ベル」

総選挙は来夏までの1年に及ぶ 政治体制変革劇の「開幕ベル」

塩田潮

 「自公」から「民社国」へ。政権交代必至の情勢だ。
 民主党は圧勝となっても「民社国」連立で行くと言明している。参議院で過半数に9議席足りないからだが、それだけでなく、「民社国」共闘は自公政権打倒に不可欠の作戦という小沢前代表の総選挙対策が基本にあった。だが、もともと総選挙対策として路線や政策の相違を強引に調整して連携を図った面があり、民主党圧勝なら、総選挙後は3党結集の内実が変化する可能性がある。

 「自公」連立も出発は参議院の多数確保が目的だった。ただし、公明党が圧倒的多数の自民党に寄り添って政権を補完する形が続き、「踏まれても踏まれても付いていく下駄の雪」と陰口を叩かれた。2大政党の狭間でほかに生きる道がないという事情があった。
 「民社国」の場合も、「社国」は圧倒的多数の民主党に寄り添って補完する役回りとなりそうだが、独自路線へのこだわりが強い両党は「下駄の雪」にはならないのではないか。自民党の活路は当面、参議院で「新ねじれ」をつくり出して追い詰めるしか手がないが、いざとなれば参議院で「自公社国」連携による民主党過半数割れを演出できるかどうか。

 実際はその動きよりも、民主党による自公勢力の分断、取り込みの可能性が大きいだろう。
 衆議院で圧勝すれば、参議院での多数維持でも、民主党は「民社国」以外の何通りものカードを手にするからだ。「民社国」政権は、実際は外交、安全保障、憲法、税制、郵政問題など未調整の課題は多く、「ガラス細工の連立」である。結局、来夏の参院選までの暫定連立と見る。参院選の結果次第だが、現在の自公の一部も含めて、連立組み替え騒動が起こり、それが引き金となって大がかりな政界再編に発展する可能性もある。それとも強固な「民社国」連立が長期化して、自公は長い「冬の時代」を余儀なくされるのか。
 今回の総選挙は来夏までの1年に及ぶ政治体制変革劇の開幕ベルと見るべきだろう。
(写真:尾形文繁・今井康一)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数

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