しょース!非常識調味料がバカ売れしたワケ 「笑いのツボ」は吉本仕込みだった

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「そうなんです。もう先代の頃からお付き合いさせてもらっています。そんなこともあって、20年間以上もテレビCMを流していました」

吉本さんとのお付き合いもあってか、社内で学芸会「オクトフェスタ」を実施するなど、おもしろおかしい職場を目指しています。そして、こちらの会社で大ヒットしている2013年発売の新商品も、そんな雰囲気の中で生まれました。その商品名とは、「しょース」です。聞きなれない言葉ですが、醤油風味のお好み焼きソ-スとして開発されました。

当初は、そのまま「醤油風味のお好み焼きソース」の名前で売り出そうとしたのですが、道満社長が反対しました。「そんな当たり前の名前はアカンよ。もっとオモロクしないと」。そして「しょース」になりました。

「社員からはボロクソに言われました。でも発売前からテレビやラジオで取り上げられ、ブレイクしたのです」。醤油味のソースってどんな味やろ、と消費者の興味を惹きました。社内で「しょース」のキャラクターも募集。テレビ出演が決まると、社長さんも先頭に立って、ゆるキャラ「お・しょースさん」を作りました。おしょうさんがソースの壺を抱えている人形です。女性社員が踊りも振り付けました。発売からたったの半年で15万6000本を売り切る大ヒットになりました。

阪神大震災で大ピンチ

道満社長は、38歳の若さで社長に就任されました。定番のとんかつソースやどろソースで売り上げも右肩上がり、業績も絶好調でした。

そんな矢先、阪神淡路大震災が会社を襲ったのです。地震が直撃し、大変な被害を受けました。本社や3工場が焼失という大ピンチです。道満社長は、廃業も考えたと言います。ただ従業員の、もう一度ソースを作りましょう、という熱意に励まされて、再開を決意します。4カ月後には、仮設で生産を開始しました。

ただ数カ月間、小売店の棚からオリバーソースが消えていました。生産再開後も、その棚を埋めていた代替の競合商品から、売り場を奪い返せない量販店もありました。加えて、神戸市の震災復興計画で、本社のある兵庫区松本通りが区画整理地域になりました。震災復興に協力を決意、市の推奨するポートアイランド2期の地に移転することとしました。ダブルパンチのようなものです。

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