川添高志・ケアプロ社長--日本の健康診断費をワンコインにする男


病気の不安を抱える人の“駆け込み寺”に

出店場所に選んだのは、中野駅から徒歩数分の商業住宅複合施設「中野ブロードウェイ」。知る人ぞ知る“サブカルチャーの聖地”だ。マンガ本やアニメ、アイドルグッズなどマニア向けの専門店が密集する施設の中に、ケアプロはある。中野区は東京23区で最も人口密度が高い。中でもブロードウェイには多くの若者が集まる。そこを狙った。東大病院での経験から、おカネのない若いフリーターなど“健診弱者”に来てほしかったからだ。

激安・短時間の健康診断。ケアプロの評判は、テレビや新聞、口コミで徐々に広がった。今や病気に不安を抱える人の“駆け込み寺”となっている。

今年4月。明らかに顔色の悪い30代前半の男性と、若い女性が連れ立って来店した。話を聞くと、体調が悪いにもかかわらず、男性がなかなか病院に行かないため、心配になって連れてきたという。血液検査をする指はすでに壊死しかかっていた。案の定、血糖値は200をオーバー(空腹時の健康な人の2倍以上!)。明らかな糖尿病だった。

「これはやばいね」。そうこぼした男性はすぐに病院に向かった。女性は大変喜んで、丁寧に頭を下げて帰った。もう少し早い段階で来てくれれば……。それでも「ちゃんと役に立って、感謝されるとうれしいですよ」と川添は言う。

開店から9カ月。来客数の増加に伴って、赤字は月を追うごとに縮小。企業などに健康指導も行うケアプロ社は5月に単月黒字化、中野店も7月に黒字に転換した。稼いだ利益は、利用者が便利になるように再投資する。そのためのサービスの改善は怠らない。

最近始めたのが、保険証を持っていないために病院へ通えない人をターゲットにした500円の「メタボ」相談と「メンタル」相談。月1回、ボランティアで医師に来てもらっている。診断書や処方箋などは発行しないが、川添は「何とか紹介状は発行できないか」と模索している。紹介状があるだけで、初診費用は安くなり、病院に行く心理的なハードルが下がる。 

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