顧客データを品ぞろえに生かすローソン、データ活用で店頭の売れ筋商品も変わる

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新商品の売り上げ予測の精度も上がった

そこでローソンが着手したのが、カード会員の属性や購入履歴を、発注精度の向上に生かす試みだ。

カードには、会員の居住地、年齢、性別、職業が記録されている。これを解析すれば、どの店舗にどんな属性の客が来店して、何を買っているかが正確に把握できるようになる。この来店客の属性から、店舗を「オフィス街」「住宅街」など八つのタイプに分類。オーナーは「自店と同じタイプの店舗の売れ筋商品は何か」が、データから一目でわかるようになった。

新商品についても、本部が既存の類似商品の過去の売り上げデータから、独自の方程式を用いて店舗タイプ別の“商品力”を算出。これによりオーナーは、新商品についても、自店との相性を見ながら、発注数を決めていくことが可能になった。

福田部長は、新しいシステムを導入したメリットとして、「商品に対する思い込みを排除できるようになった点が大きい」と語る。

たとえば、4月に発売された「焼鮭和風幕の内弁当」。当初は「中高齢者向けだろう」という先入観から、どの店舗も発注を抑える傾向が強かった。ところが、カードデータから明らかになったのは、購入者の年齢層が幅広く、リピート率も高いという事実だった。

つまり、これまでは売れたはずの商品が仕入れられておらず、そこに機会ロスが生じていたわけだ。顧客データを基に思い込みを排した結果、現在では「焼鮭和風幕の内弁当」は、売れ筋弁当の一つとして、高い販売数を記録している。

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