核廃絶のために、もっと日本は世界に貢献すべき

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 オバマ大統領が核廃絶に向けた意志を表明したことで、会議は非常に順調に進み、議題設定もスムーズに決定した。05年の会議では議題さえも設定できなかったのに比べると大きな違いである。

また、筆者もそのサイド会議に参加し、各国の国会議員や国連軍縮関係者、NGO関係者などの有識者と意見交換を行い、その雰囲気を肌で感じてくることができた。

ワシントンDCで

このように国際的に核廃絶へ向けた熱意の高まりが見られる中で、アメリカ国内の状況は違っていた。

筆者は、準備委員会に参加する前にワシントンDCに行った。

10人以上のアメリカ連邦議員に会い、「核不拡散と原子力平和利用において日米協力を行うべき」との説明を行ったところ、原子力平和利用の推進については多くの下院議員が理解を示すものの、核不拡散・核廃絶については「核の抑止力がない平和が実現できるのか」といった大きな反発があった。

オバマ大統領を最初に大統領候補として推薦した下院議員でさえも、オバマ大統領の発言については懐疑的な発言をしていた。

ある議員は、その理由をこう説明してくれた。

アメリカの下院議員選挙はおカネがかかる。テレビCMなども打つので400万ドル(約4億円)は必要だ。そのおカネは産業が寄付している(Industryという表現を使っていたが、軍事産業をさすものと解釈できる)。また、退役軍人が選挙のボランティアとして助けてくれる。これは共和党、民主党関係なく同じ状況だ。つまり、核廃絶に賛成する連邦議員はいない

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