片務性が著しいフランチャイズ契約、加盟店の権利と本部の義務を明確化させる法整備が必要

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 契約期間は5年で、これを経過して円満に契約を解消する場合でも、なぜ加盟店のみが6カ月前の事前通告義務を負うのか。なぜ100万円もの解約金支払い義務があるのか。合理的根拠は不明で、何としても“足抜け”を阻止するため、としか考えられない。さすがに数年前からの新しい契約からこの条文は消えたようだが、以前に締結した契約中にはまだこの条文は生きている。

次に、加盟店が契約に違反したなどの場合、本部は無催告で契約を解除できるという条項がある一方、本部が契約に違反した場合、加盟店側から契約解除できる条項はない。

そして加盟店側には、いかなる理由による契約解消でも、本部に解約金や違約金を支払う義務が定められている。一方、本部側にいかなる違約があっても、加盟店に対し解約金や違約金を支払う義務規定はない。

さらに、「フランチャイズ契約が期間満了、解約、解除その他の事由により終了した場合、直ちに本部が実地棚卸を行い購入した在庫商品を本部は店頭仕入原価にて買い取る権利を有する」旨の規定がある。什器についても同様だ。

本部がこれを行使すれば、旧加盟店は事業継続に不可欠な資産を本部の一方的な査定額で手放さなければならない。期間満了後、円満にFC契約を解消して古書店を営むことを阻むこの規定の合理的根拠はいったい何なのか。

より意味が明確なのが競業禁止規定だ。これは、契約終了後、旧加盟店は2年間、契約者本人、配偶者、兄弟姉妹、子、親などが「同業種の事業」や「書籍業」を営むことを禁止する規定だ。

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