株式投資で勝ちたいなら、改めて業績を見よ かつてない大きさの変動幅、「犯人」は誰だ?

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株価が大きく変動すると、保有している上場会社の株式がどうなってしまうのか不安になるものだ。株価は本質的には企業業績によって変動する。業績が良くなれば上がり、悪くなれば下がる。需給の変動で一時的に大きく振れることはあっても、環境が落ち着けば収益面で妥当な水準に収まる。

では、企業業績はどうなるのか?

目下、企業業績には不安要素が山積だ。2012年11月以降はアベノミクスによる株高と円安を背景に好業績ラッシュだったが、状況が変わってきた。今年3月1日に発表された2015年10~12月期の法人企業統計では、経常利益が4年ぶりに前年同期比1.7%減少している。

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円安一本調子だった為替相場が円高基調へ転換したことで、自動車関連業界では期待される利益に届かない会社が出てきそうだ。また「iPhone 6s」の減産が発表され、電気機器メーカーなどの中には業績を下方修正する会社も出ている。

日本銀行がマイナス金利を導入したのに伴って、銀行や保険会社の収益が一気に悪化するとの見方も出ている。中国での成長減速や、世界の景気を牽引してきた米国経済の息切れを懸念する声も出てきており、企業業績には暗雲が垂れ込めている。

大局で見ていくことも必要だ(写真:kou / PIXTA)

集計中の『会社四季報』2016年2集春号(3月14日発売予定、東洋経済新報社)の最新データではどうか。

会社四季報では3カ月ごとに担当記者が全上場会社を個別に取材し、企業業績を分析・予想している。最新の業績予想を見ると、2016年度の経常利益は上場会社全体で3カ月前に比べて約1.7兆円減っている。ほとんどの会社が経常減益になる想定の銀行や、円高進行や米国景気の停滞を見越して自動車メーカーの利益が伸び悩む点が大きい。

ただその中でも、2016年度に最高純益を予想する会社も420社ある(2月26日集計時点)。外部環境が不透明な中、会社ごとの業績の良し悪しが鮮明になってきている。冷静な投資判断を下すため、改めて企業業績に注目する流れが高まっている。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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