共和党でトランプ氏まだ圧倒的優位ではない 序盤戦終え、米大統領選の今後を占う

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今後の展開で注目されるのは、共和党の場合、まずルビオ氏とケーシック氏の今後を決定するフロリダ州とオハイオ州の選挙結果である。両候補が生き残れるかどうかを決める選挙になるだろう。もしケーシック氏がオハイオ州で圧倒的な勝利を収めることができず、脱落すれば、共和党エスタブリッシュメントはルビオ氏にさらに肩入れすることになるだろう。その際、ケーシック氏の支持者がルビオ氏支持に回るかどうかが焦点となる。

また共和党、民主党ともに、多くの代議員が割り当てられている大きな州での投票結果がどう出るかが、ポイントとなる。たとえば、民主党の場合、3月15日に選挙が行われるフロリダ州の代議員の数は246名、イリノイ州の代議員数は182名、オハイオ州は159名、ニューヨーク州では291名、カリフォルニア州では546名である。こうした大きな州で大差を付けて勝利すれば、獲得代議員数は大きく変わってくる可能性がある。共和党にも同様なことが言える。大きな州としては、フロリダ州(99名)、イリノイ州(69名)、オハイオ州(66名)ニューヨーク州(95名)、ロードアイランド州(71名)、カリフォルニア州(172名)の動向が選挙結果を左右する。

トランプ氏の勢いは続くのか

州の人口構成や民族構成、教育レベルなどが選挙結果に大きな影響を与える。たとえばクリントン候補が南部で勝利したのは、アフリカ系アメリカ人の比率が高いことが幸いしたからである。リベラル派で高学歴者や若者の支持が多いサンダース氏がニューヨーク州やカリフォルニア州で健闘することも十分に予想される。まだ選挙は序盤戦を終わったに過ぎない。公開討論会でのパフォーマンスや失言などで、一気に支持が落ち込むこともありうる。

現在のところ、共和党はトランプ候補、民主党はクリントン候補がリードしているが、当面は3月の選挙結果が極めて重要になっている。3月8日にはミシガン州など4州、同15日にはフロリダ州など6州、同22日にはアリゾナ州など3州といった具合に集中的に選挙が行われる。

最大の焦点は、トランプ氏が出だしの勢いを維持できるかどうかである。あるいはケーシック氏が脱落し、3名の候補に絞られるのか。その際、既に脱落している候補者の支持票を誰が獲得するのかが最大の注目点である。トランプ氏はリードしているものの、代議員の数では過半数にまだ遠く及ばないし、勝利した州でも過半数を超える圧勝をした州はない。候補者が絞られて来れば対立軸も明確になり、票の分散も減り、選挙情勢は明確になってくるだろう。

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