米国が日本を見捨てて中国と組むことはない--ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学教授


 来年、日米安全保障条約は50周年を迎える。同条約は半世紀にわたって東アジアの安定を支える要であった。しかし今、日本の国内政治が不透明さを増し、北朝鮮の核実験とミサイル発射が日本人の不安感を高めている。

日本は長年維持してきた「核抑止能力を持たない」という政策を逆転させるのだろうか。日米同盟は終焉を迎えつつあるのだろうか。

1990年初頭、多くのアメリカ人は日本を経済的脅威と見なしていた。両国の一部の人たちは、安全保障同盟を冷戦の遺物として放棄すべきであるとさえ考えていた。

こうした傾向は、95年のクリントン政権による「東アジア戦略報告」によって逆転した。「クリントン橋本宣言」の中に「日米安全保障条約は冷戦後の東アジアの繁栄を促進する安定の基礎である」と述べられている。この政策はアメリカでは超党派で引き継がれ、日本でも広く受け入れられてきた。両国関係を詳細に見てきた専門家も、現在の日米同盟は15年前よりはるかに良好であるという点で意見が一致している。

それにもかかわらず、日米同盟は新しい国際環境の中で三つの大きな課題に直面している。

一つ目は北朝鮮である。北朝鮮は条約を相次いで破棄している。北朝鮮に対して最も強力な影響力を持つ中国でさえ、レジーム崩壊に伴う両国国境での混乱を恐れ、強い態度に出られない。

日本は公式には非核世界を実現する目標を支持しているが、同時にアメリカの核抑止力に依存しており、北朝鮮(あるいは中国)の核による脅しの対象となることは避けたいと願っている。日本人は、アメリカが中国と均衡するまで核兵器を減らすことにより、核抑止力の信頼性が低下することを恐れている。

だが、核抑止力が核兵器の保有数の均衡によって決まると考えるのは間違いだ。核抑止力は核兵器の性能と核兵器に対する信頼感によって決まる。冷戦中、アメリカがベルリンを守ることができたのは、NATO(北大西洋条約機構)がアメリカの約束を信頼し、ソビエトの攻撃に備えてアメリカ軍が欧州の最前線に駐留していたからである。

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