TOSHI×ロート製薬「大切なものは何ですか」《それゆけ!カナモリさん》

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■ロート製薬が「大切にしているもの」

 単体で1200人を超える社員を抱えるロート製薬が、全社社員旅行を開催したという。場所は沖縄。同社の公開情報ではないので、経緯や詳細などははっきりと分からない。どうもその場に、TOSHIを呼んでシークレットライブを開催し、活動のテーマソングを大合唱したようなのだ。

 TOSHIのBlogに、「暑い沖縄熱いロート製薬の皆さん」という記述がある。

昨日、ロート製薬の全社員が集う創立110周年記念ツアーイン沖縄のスペシャルイベントでのシークレットライブのために沖縄入りしました
夜の特設ステージでのコンサートはホントにもの凄すぎるほど盛り上がって、最高でした!
「大切なもの」の大合唱はホントに感動だった
ロート製薬さんのルックネクストキャンペーンCMで「大切なもの」がテーマソングとしてオンエアされてますが、山田会長、吉野社長はじめホントに素敵なハートフルな熱いそして若さあふれる会社。楽しく感動的な沖縄の激しい熱い夜でした
ロート製薬の皆さん、ありがとうございました
 CSR活動を本社の社会貢献室が企画し展開しても、末端の社員は全く関与しなかったり、そもそも何をやっているか知らなかったりする。ロート製薬の社員は大合唱の熱狂の中で、活動の意義を深く意識し、誇りを噛み締めたに違いない。日常に戻ってからも、おのずと仕事にかける想いは変わっただろう。CSR活動を、社員のロイヤリティー、モチベーション向上のツールとして、これだけ有効に使った例は、あまり聞いたことがない。

「大切なものはなんですか」

 曲の中でTOSHIは、そう何度もリフレインする。米国流のマネジメントスタイルも否定され、かといって“古き良き”日本企業にも戻れない今、企業に、組織にとって大切なものは何か。小難しい経営用語をこねくり回すよりも、よっぽど本質的な問いだ。真摯に自問自答を繰り返せば、答えは出るのかもしれない。その先に、アリバイ作りのCSRではない、“ホンモノ”のCSRの有り様が見える気がしてならない。そしてそれは、次代の企業のあるべき姿にもつながるのではないだろうか。

「大切なものはなんですか」

 ロート製薬にとっては、社会であり、お客様であり、そして社員なのだろう。
《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2009年7月30日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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