JR東日本の業績が「長いトンネル」に入る理由 今期の最高益から一転、来期は減益の可能性

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JR東日本の収益を支える新幹線だが、来期はその改修積立金が減益要因となりそうだ(撮影:尾形文繁)

JR東日本が快走を続けている。2015年度の業績について、会社側は売上高が2兆8410億円、本業の儲けを示す営業利益が4630億円と予想している。いずれも過去最高を更新する見通しだ。

しかも、第3四半期(2015年4~12月期)時点で営業利益は4347億円に達している。期末まで3カ月を残し、年度計画の9割強を達成してしまった。このままの勢いが続けば、最終的には会社予想を大幅に上回る可能性が高い。

だが、この勢いは今期限りとなるかもしれない。2016年度は一転して減益決算となる可能性があるのだ。

待ち構える新幹線の大規模改修

今期の業績を牽引した北陸新幹線ブームが開業から1年を経て、その好影響が一段落する可能性があること、北海道新幹線が北陸のようなブームを引き起こすかどうかわからないことなど、いくつかの要因はあるが、もっと明確な理由がある。

それは、2月17日にJR東日本が発表した東北・上越新幹線の大規模改修である。2031年度から10年間にわたって、土木構造物の改修作業を実施するというものだ。

東北・上越新幹線は1982年に開業した。つまり、2031年は開業からほぼ50年後にあたる。新幹線は安全運行を維持するため、日常的にさまざまな保守・点検作業を行っている。それでも、超長期にわたってインフラを使用していると経年劣化は避けられず、通常の補修で対応しきれなくなる。

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