果たして「公明党はどこへ」 考えられる三つの道

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果たして「公明党はどこへ」 考えられる三つの道

塩田潮

 やる前から負けを前提にした話はできないから、「とにかく勝つ」と答えるしかないのだろう。
 公明党の太田代表はどのインタビューでも「総選挙後」については何も答えていない。総選挙で負けたとき、自民党がどうなるのかが話題となっているが、「公明党はどこへ」という問題も見逃せない。公明党の今後を占う上で、太田代表の東京12区の民主党の候補決定が注目を集めたが、小沢前代表の国替えなしの決定は、参議院での単独過半数未達成をにらんだ公明党抱き込みの布石との見方も有力だ。小沢氏は新進党時代以来の創価学会との水面下のパイプを復活させ、早くも対公明党対策に着手という噂も流れている。だが、そうではなく、民主党は徹底対決の方針を崩していないという逆の分析もある。

 振り返ると、創価学会の国会初進出が1956年、党結成は64年、政権初参加は93年だった。
 以後は新進党時代も含め、反自民連合に4年余、自民党との連携が10年である。93年以前と大きく違ったのは、政権の行方を左右する権力闘争の荒波に身を投じたことだ。そのために激しい攻撃も浴びたが、政権のうまみも味わった。99年以来の「自公蜜月」の重みは無視できないという声もあるが、権力という接着剤がなくなれば、同棲解消は時間の問題と見る人は多い。自公関係を清算して独自野党を覚悟するのか、なりふりかまわず民主党にすり寄って「万年与党」を目指すのか、第3の道を模索するのか。

 公明党は権力闘争の荒波で身につけた遊泳術を生かして、第3勢力として新しい生き方を確立するかもしれない。
 他方、今度は望んでも荒波の中に入ることができず、2大政党政治の潮流の下ではぐれ烏となる危険性もある。実は第3の道の模索はそうなったときから始まると見る。最後は1950~60年代の第二院と地方自治だけに関わった第3政党という原点に帰っていくのではと予想する向きもあるが、果たして「公明党はどこへ」。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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