上場5子会社を吸収、日立の意外な実行力

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 日立本体のある役員は「7000億円超の赤字が印籠になる」という現状を解説する。加えて、川村社長は5社のうち3社の会長を務めた経験があり、グループ経営を統括する三好崇司副社長も、3月末まで別の1社の社長を務めていた。川村社長は「グループと本体の最適化は、グループを経験して帰ってきた人間が説得しないといけない」と語っていたが、それを実行して見せたわけだ。

もっとも、上場子会社はまだ11社ある。だが今の日立本体には、次の構造改革をすぐに実行できる体力を持ち合わせていない。

今回のTOB資金は金融機関からの借り入れで賄うため、有利子負債は3兆円を突破する。今期は2700億円の最終赤字見通しで、財務が一段と悪化するのは確実。「幅広く資金調達の方法を検討する」(三好副社長)と言うように、資本増強も避けられそうにない。

「(11年3月期は)何としても黒字化したい」(川村社長)。スピード改革の次には、収益力アップという根深い難題が待ち受けている。

(山田雄大,撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

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