世界ウイグル会議カーディル議長が来日会見
--「われわれは中国との対話を望んでいる」

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亡命ウイグル人組織である世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長が、7月29日、都内で記者会見した。米国に亡命中のカーディル氏は、7月5日に新彊ウイグル自治区ウルムチで起きた騒乱を国外から扇動したとして中国政府から批判されている。今回の訪日にあたっても、日本政府によるビザ発給に、中国政府は不快感を表明していた。

会見冒頭でカーディル氏は、7月5日のウルムチでの状況について、「広東省でウイグル族労働者が襲われた事件の真相究明を求めたデモに対し、治安部隊が発砲した。当初、デモ隊は中国の国旗を掲げた平和なものだったが、参加者が拡大する過程でウイグル族と漢族の衝突が発生。午後9時過ぎにいっせいに市内の電灯が消され、暗闇の中で無差別射撃が始まった」と説明した。

また、「多くのデモ参加者が行方不明になっている。中国政府の発表だけでも拘束者は4000人にのぼるが、実際はその数倍はいるのではないか。国際社会には実態究明のための調査団派遣を求めたい。中国政府はもっと情報を公開すべきだが、現実にはインターネットと国際電話を規制し、実態を隠している」と、中国政府の対応を批判した。

カーディル氏は30日に日本を離れ、米国に戻る予定。7月31日には米国議会・下院外交委員会で、ウルムチでの騒乱について証言するという。

会見でのカーディル氏との主な質疑は以下の通り。

--今回の事態についての米国政府の反応をどうみるか。

多くの若者が死んだというのに、米国の態度は冷たく、失望している。国際社会も経済問題優先で、まともに反応していない。しかし、米国がずっと沈黙しているとは思わない。

--世界ウイグル会議が求めているのは独立なのか、(亡命チベット政府と同じく)高度な自治なのか。

我々が求めているのは民族の自決権だ。現在も形式上の自治権はあるが、まるで実態がない。最近も、北京でウイグル族の大学教師が、法にのっとった自治の実現を求めた議論をしたことを理由に拘束された。

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